「私はヒロリ」


「オレはキョウヘイです」


「…あら、君がそうなの。ベルにはもう会えた?」


「え、ベルさんの知り合いなんですか?」









第六話

面影懐かしく









「あ!ヒュウ!」


「んあ?キョウヘイ!…とヒロリさん!?」


「昨日ぶりねぇ」


「ヒュウ、ヒロリさんのこと知ってたのか」


「知ってるもなにも…昨日この人に負けたばかりだよ」


キョウヘイ君はヒュウ君を見付けると、駆け寄って近付く。


「で?何の用だよ」


「お前の妹からの預かり物。ほら」


「タウンマップ…あいつ、妹のくせに…」


「あらあら照れ隠しはいけないわねぇ」


「照れてなんかねぇ!」


そんな赤い顔で言っても説得力ないわよ。


「…ヒュウとヒロリさんって仲良いんですね」


「えぇ、とっても」


「別に良くねぇ!!…いや、こんな遊んでる暇はないな。キョウヘイ!」


あらあら、もう終わり?

つまらない。


「なに?」


「お前も鍛えたんだろ?どれだけ強くなったか見てやる!」


「え?いや…ちょっ」


「いくぞ!ツタージャ!」


「ぇえ!?オレの話を聞けよ…いけ!マル君!」


…キョウヘイ君のポケモンはミジュマルか。

相性は不利だけど…どうでるのかしら?


「よっし!ツタージャ、じわじわいくぜ…"巻き付く"!」


「マル君!」


ミジュマルがツタージャの蔓に絞められて苦しそう。

おそらく、体力を少しずつ削って削って削って…。


「とどめの"蔓のムチ"!」


ミジュマルを苦しめている蔓とは別の蔓がミジュマルを襲う。

あれが当たれば一たまりもないでしょう。

さぁて…どうするのかしら。


「…マル君、"水遊び"!」


「やけになったのか?そんなんじゃオレには勝てないぜ!」


…あの目、見たことがあるわね。

どんな状況でも諦めない。

まるで…。


「…今だ!抜け出せ!」


どうやら"水遊び"の水が潤滑油の代わりになったみたい。

キョウヘイ君はこれが狙いでミジュマルにかかる"水遊び"を指示したわけね。


なかなか面白い戦い方するじゃない。


「ツタージャ!」


そんなこんなで勝負はついたみたいね。

目を回して倒れたツタージャの側には…。


「…マル君、おつかれ」


同じく目を回したミジュマルが倒れていた。


「…二人共、お疲れ様。ミジュマルとツタージャは私が回復してあげるわ」


元気のカケラを二つ取り出して、それぞれの口の中に入れる。

するとミジュマルとツタージャは少し回復したらしく立ち上がった。


「あ、ありがとうございます」


「いいのよ、これくらい」


ふむ、トレーナーとしてのバトルセンスは二人共なかなかね。

…とくに、キョウヘイ君はかなり伸びるわ。

今回だって相性が悪くなければ…。


「キョウヘイ!お前なかなかやるな!いいじゃねぇか!頼りになるぜ!」


「…いや、お前さ。急にバトル開始するの止めろよ」


「んだよ。野生のポケモンは待ったなんてきかねぇぞ」


「お前はトレーナーだろ」


呆れたような顔のキョウヘイ君は彼女とはまったく全然違くて。

…あの双子は、今はどこで何やってるのかしらね。


考えても答はなく
(だいたいヒュウ、お前はいつもなぁ…)
(キョウヘイだっていつも…)
(はいはい、喧嘩はそこまでよ)


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