「…なるほど、イタチからねぇ…」


カカシさんの呟きに頷いて肯定を示した。

相変わらずやる気のなさそうな死んだようなカカシさんの目は、自分で持っている巻物に向いている。

そういう私も巻物に目がいっているんだけどね。


「何の巻物かは言わなかったんだ?」

「はい。一切知りません」

「そっか」


手を傾かせ、色々な角度から巻物を見ていたカカシさんは、ふと結んである紐を見てほどき始めた。


「…!?え、開くんですか!?」

「うん。だってほら、いつまでも放ってはおけないでしょ?なんの巻物かを確かめるには開いたほうが早い」

「まぁ…そうですけど…」


でも大丈夫かなぁ?
巻物のなかには口寄せの術式があって、開くと何かが召喚されるのもあるって読んだことあるんだけど…。

まぁカカシさんいるからいっか。

何か出たらカカシさんに全部任せよ。


「…これは」

「?なんですか?これ」

「…契約書だ」

「契約書…」


契約書ってたしか…口寄せに使うやつだったな。

…私の予想はあながち外れではなかったってことだ。


「しかも…珍しいものだ」

「珍しい?」

「普通の口寄せの契約書は何人でも同時契約が可能なのは知ってるでしょ?」

「はい」


どういう仕組みかよくわからないけど、口寄せ動物とは器量さえあればどんな者でも契約できる。

多分チャクラの量が関係してくるんじゃないかな?

契約ができれば、その契約書の口寄せ動物の一族なら何でも呼び出せるらしい。

何が出るかは術者の技量しだいだという。

口寄せのこともいずれ研究したいなぁ。


「その契約書は何がどう違うんですか?」

「同時契約ができない」

「…そうなんですか?」

「…ここに書いてある」


カカシさんが指差したところには、「契約はお一人様まで」と書いてあった。

軽っ!


「…契約者はイタチが最後みたいだ」

「イタチさんが…」


契約者の欄にはイタチさんの名前が連ねてある。

最後ということは、イタチさんが今の契約者ということかな。


「…契約しなくても呼び出しは可能みたいだから、呼び出してみる?」

「…カカシさんの判断にお任せします」

「じゃあ呼び出そうか」

「決断早っ!」

「じゃユウちゃん、この印結んでみて」

「しかも私が呼び出すんですか!」

「だって“すでに他の契約をしている人はお断り”って…」

「…なんか色々面倒臭いですね」


とりあえず、契約者に書いてあった印をチャクラを込めながら結ぶ。

結んだあとは床に手を付けて術式の完成。

床に術式が広がり、光り出す。同時に煙が出てきて部屋全体に漂った。

いったい何が出るんだろう。
ちょっとワクワクする。
…あれ?でも待って。
イタチさんの口寄せ動物って見たことあるじゃん。
…まさか。


「…煙が晴れてきたネ」


結論:思い付くのは…
(イタチっ!てめぇなんで…!…あ?どこだここ)
((呼び出されたのは何様俺様狐様でした))

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