皿と皿が触れ合う音。
出しっぱなしの水の音。
それに負けないくらいのテレビの音。
それらの音が混ざりあって微妙なハーモニーが出来上がる。
…いや、なにが言いたいのかと聞かれても困るんだけどさ。
とりあえず、一つだけ言いたい。
カカシさん早く帰れ、と。
「皿洗い終わったヨ」
「頼んでないけどありがとうございます」
本当に頼んでないんだけど。
カカシさんにタオルを渡しながら思う。
早く帰ってくれないかなぁ。
「…ところで」
「はい?」
「それは、なに?」
カカシさんが指差す先には例の、あのイタチさんから渡された巻物が。
そういや食事中も机の上に出しっぱで、カカシさんがしょっちゅうチラチラと見ていた気がする。
「あぁ、これ託されたんです」
「誰に?」
「………」
イタチさんに。
などと言っていいのか分からず口を閉ざす。
「………」
「………」
「………」
「………」
「……ユウちゃん」
うわ、急に真剣な顔しやがった。
「………」
…話していいのかな。
イタチさんの様子から、なんとなくイタチさんはとんでもない事をしでかしたのではないだろうか。
だから里を出ていくのだろう。
私がいまここでイタチさんの事を言うという事は、イタチさんの情報が上忍であるカカシさんから上へ、火影様に伝わるという事だ。
…いや、火影様なら多分伝わっても大丈夫な気がする。
問題は他のお偉いさん方だ。
もし、本当にもしだけど、イタチさんの事を良く思ってない人に伝わったら…。
…それに、言ったら言ったで面倒事に巻き込まれそうだ。
重要参考人だとかで毎日毎日問い詰められるかもしれない。
それだけは嫌だ。
「…ユウちゃん、顔に出てるんだけど。考えが手に取るようにわかるんだけど」
「ならいいですよね。私の答は“面倒だから話さない”です」
「開き直らないでヨ…」
「…ですが、」
私は無知すぎる。
うちは一族の事件も。
イタチさんのことも。
だから…。
「話します」
「…本当かい?」
「はい。私は知りたいんです」
「…?」
「うちは一族事件の詳細を」
「!」
結論:等価交換です
((カカシさんが困ったように頭を掻いた))