…うん、まぁね。銀髪野郎に捕まってしまったよ。
迂闊だったなぁ。


「さて、と」

「私をどうするつもりですか」

「さぁてねー、どうしよっか」


うわームカつくー。
くそ、こんな縄なんか…。


「おっと、武器を没収しないとネ」


お巡りさーん、ここに泥棒がいまーす。
あーぁ、武器取られちゃったし…抵抗する気も起きなくなった…。


「あーもう、どうぞ煮るなり焼くなりしてください」


情報は喋らないけど。


「諦めるのかな?」

「諦めるも何も…こうやって敵に捕まった時点でもう助からないじゃないですか。ここは人も来ないし」

「ふーん…じゃあ、遠慮なく」


どーせ痛みは一瞬だ。
それさえ終われば…。

私は目を閉じて衝撃が来るのを待った。

…短い人生だったなぁ。


―ザク!


「……?」


…あれ、痛く…ない。

…え?


「…そんな簡単に諦めちゃダメでしょ」


目を開けて身体を見れば、縄が解けた自由な腕が。

顔を上げてみれば銀髪野郎が目元だけの優しそうな笑顔が。

…あれ?この顔見たことある…。
あれは…たしか、前の世界で…?


「まぁでも、その歳でここまでできれば上出来だよ。佐々木ユウちゃん」

「…え、なんで名前。え?あんた誰?」

「オレは君の両親の知り合いだよ。君の父親のヤスノリさんからはよーく君の自慢をされてねぇ」


まいったまいったと言うように頭をかく彼は、やはりどこか見た事がある。


「…じゃあ、木の葉の忍…?」

「そーだよ。オレは木の葉の上忍、畑カカシ。よろしくネ」


…あー…この人がネー…。




あれから私は畑カカシさんにアドバイスという名の説教をもらった。


「君ねー、忍術センスはなかなかなものだけど自分の手の内を敵に喋りすぎ。あと体術がまだまだだね。注意力もまだ散漫だし、ちょーっと油断が大きいし。もっと精進しなさいヨ」


うわ、なんかボロクソ言われたし。

なんでたかが両親の知り合いってだけの他人にここまで言われなくてはならないんだ。


「あと…」


拗ねた私に気付いたのか気付いてないのか、畑カカシさんは私の頭に手を置いた。


「…簡単に諦めるなんて考えちゃダメ。たとえ絶望的な場面でも絶対生き抜くこと、それが一番大切なんだ」


優しく私の頭を撫でるその手は、なんだか、アニメや漫画という枠を超えていて。

とても、なんだかあたたかかった。


「…ま、その歳で諦めるなんてまだ早いのヨ。精一杯生きなさいな」


結論:でもその言葉は、あまり響かなくて
((どうせ人はいつか死ぬんだ))
((それが早まろうと遅くなろうと…))

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