「えー、今日は通信簿を渡そうと思う」


イルカ先生がそう言い切った瞬間に響き渡る抗議の声。

通信簿かぁ…どんな感じだろうな。


「次、佐々木ユウ」

「…はい」


イルカ先生から手渡された少し丈夫な紙を、席に座ってから眺める。

うーん…忍術と幻術はまぁまぁだけど他がなぁ。
授業態度なんてバツつけられてるし。
まぁ授業中は寝るか自分の忍術に集中するかサボるかのどれかだしね。
しょうがないか。


「あ、ヒナタ」

「…ユウちゃん」


ヒナタと通信簿を見せ合ってみる。

うわ…ヒナタ凄い。
積極性以外ほとんど良い。
積極性はね…うん、しょうがないよ。


「ヒナタ凄いね。めちゃくちゃ成績いいじゃん」

「ユウちゃんだって忍術に関しては凄いと思うよ…?」

「だって父さんと母さんからも習ってるし。あんなのは当たり前だよ」

「そう…かな?」

「うん。ヒナタの努力のほうが凄い」

「…ありがとう」


ヒナタって笑うと可愛いなぁ。
癒される。


「ユウ、どうだった?」

「あ、チョウジにシカマル」

「よぉ」


あれからよくこの二人に話しかけられるようになった。

ほっといてくんないかなぁ。
面倒事はごめんなんだけど。


「まぁまぁかな。ヒナタには負けるけど」

「ヒナタは成績優秀じゃねーか。お前と比べるほうが間違いだよ」

「そんなことないよ…!」

「そーだよ。そんなに言うなら二人のも見せてよ」


私の通信簿とシカマルとチョウジの通信簿を交換する。

…これは。


「…お前チョウジより悪いな」

「…いや、あんたに言われたくない」

「…でもシカマルよりも悪いね」

「…ユウちゃん、頑張って」


まさかシカマルよりも悪かったとは。
こいつに協調性なんてあったのか。


「…まさか私って…ドベ?」


どうしよう。
さすがにそれはマズイ。
いくらなんでもダメだ。


「いやドベはナルトだろーよ」

「…あぁ」


納得してナルトをちらっと見る。
どうやら紙を見て震えているようだ。

…どうしたんだろ。


「…ぃよっしゃー!!二重丸が一つあるってばよー!!」


…あぁぬか喜びか。
もうほっとこう。


「お前ら静かにしろ!」


イルカ先生が教卓を両手で勢いよく叩く。
それを合図に生徒は自分の席へ戻っていった。
私とヒナタは元から自分の席なので移動はしない。


「お前らなぁ…はっきり言うが、お前達は今までの生徒達より断トツで成績が悪い!」


おぉふ…やばいイルカ先生がキレそうだ。


「もちろん良い奴もいるが、悪い奴が目立つ。そこで、明日追試をやる」


再び抗議の声が上がる。

うわめんどくさ…私、追試とか嫌いなんだよねぇ。


「うるさい!これは救済措置だ。もし明日の追試も悪ければ、そのチームは居残り授業をしてもらう」

「え、チーム?」


イルカ先生の言葉にいち早く反応したのは、髪がピンク色のサスラ(?)だった。

「そうだ。明日の追試は…チーム演習だ!」


…ペーパーじゃなくて良かった。


結論:居残りだけは勘弁です
(チームはこっちで均等に決めるからな)
((別に誰でもいいや))

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