「ヒナタじゃあねー」
「うん…ユウちゃん、また明日」
アカデミーが終わり、ヒナタに別れの挨拶をする。
ヒナタは影が薄い同士の友達だ。
少々引っ込み思案だけど、そこがいいと思う。
というか私、転生してから凄く影が薄くなったんだけど。
前はそこまで薄くなかったのに…。
これは転生した副作用?
自分としては助かる時もあるけど(授業サボる時とか、先生から逃げる時とか)、たまに私の存在が忘れられて悲しい時もある。
両親は忍に向いてていいじゃないかと言っているけど…。
ヒナタと別れていつも通り修行の森へ行こうとしたが、ある一点の場所が目についた。
あれは…ナルトだ。
NARUTOを知らない私でも、主人公とヒロインとライバル、そしてそれらをまとめる先生の存在は知っている。
ナルト以外は名前あやふやだけど…(たしか…サスラとカスケ…サカシ…だっけ?あれ?違う?)。
その主人公であるナルトが公園で何人かの男の子達と遊んでいるのが見えた。
一人は少し丸々と太っていて(将来が少し不安だ)、柔和そうな子。
一人は髪を上にまとめ、面倒臭そうにブランコに座っている(あの年でだいぶ無気力だ)。
もう一人は犬を連れて走り回っている、短髪な子(性格が合わなそう)。
ナルトを含めた四人は仲良くはしゃいでいる。
それはもう、楽しそうに。
「………」
私もあの時くらいは友達と楽しくやっていたもんだ。
あ、あの時って前世で小さい時のことね。
…友達は、私が死んでから何をしてるかな。
悲しんでくれたかな。
彼氏、は…。
はっと我に返った時は、公園の男子四人が私に注目していた。
やべ、ナルトなんかこっちに来そうだし。
なんか今にも「おーい!」…逃げるが勝ちだ!
「あ、逃げた」
「なんで逃げるんだってばよ!?」
「追いかけんぞ!」
「ほっとけよめんどくせぇ…」
すぐに公園から離れたおかげか、あの四人(いや、三人?)は楽に撒けた。
結構近くで聞こえる「チクショー!」なんて声知らない。
決して影が薄いから見付からないわけじゃないからね。
結論:厄介事には突っ込まないが吉
(はぁ…疲れたからもう帰ろ)