彼は、僕より強い。

心も体も、精神も肉体も、
強い、筈なのに。


どうして。
どうしてこんなに不安になる?

どうして彼を見ていると、
こんな気持ちにさせられる?


僕は何故、
彼を護ってあげなければと感じる?



分からない、分からないけど。

彼を誰にも傷付けられたくない
その気持ちだけは――…








「おいリュード、いつまでボサッとしてんだ?行くぞ。」
「あ、ハイ!」


そんな事を考えていると、いきなり後ろから頭を小突かれる。

ふわりと舞う彼のマント。
次第に遠ざかる背中が、なぜか儚げに見えて。


「………っ!何だよ…?」


気付けば僕はその裾をしっかりと掴んでいた。


「……離れたくないんです。」
「…離せ。」

べしりと手を叩かれる。
確かに痛かったが、今の僕にはそんな接触も嬉しくて。

少し赤くなった手を握る。
ほんの少し感じた、彼の温もりを噛み締めるように。





僕はどうしてこんなにも
貴方に夢中なんでしょうか?

無愛想で素っ気ない、
貴方の何処に
惹かれるのでしょう?


やっぱり答えは分からない。
だけど、
多分この気持ちは本物です――…






日を追う毎に気持ちは増して。
今日も僕は貴方を追う。





触れれば、冷たく斬られる。


孤高の光を放つ貴方は、

さながら、
冷たくも美しい、氷の刃。


強く儚い貴方を護る為なら、
僕は何でもしましょう。





あの時の答え、
今なら言えますよ。



貴方は、確かに強いです。
また、それ故に脆い。

薄く鋭利に研ぎ澄まされた刃…


使い続けていれば、
すぐに折れてしまうでしょう?


貴方も同じ。
見た目は強く見えようとも、
今にも崩れ落ちそうな程の儚さを秘めている。



だから護らなきゃいけないと
感じたんですよ。



僕は、
貴方を護る『鞘』になります。


邪魔する者も、傷付ける者も、
僕が皆消し去ってみせます。





だからもうそれ以上、
その刃を薄く薄く
研ぎ澄まさないで下さい――…









〜アトガキ〜
『氷の刃』っていうフレーズが唐突に浮かんできまして、ね?

夜中の3時過ぎに。

冷たくて、鋭利で、綺麗で、儚くて、今にも折れそうな感じ?
カラスもそんな感じかなぁ?…とか思った頃に、郵便屋さんとご体面。
冷気を放つ澄んだ刃って魅力的じゃありません?…え、別にそんな気しない?


かなり一方的な片思いです。
こんな感じにリュードはカラスに恋い焦がれてて、次第にカラスも流されていくー…みたいなリュカラが好きなんです。

読んでくださりありがとうございました〜

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