2013/05/01
▼5月…だと…

下の文章は某方の素敵なお話に触発されて書いたもの。わたしの中でのイメージはシドのレインです。あの方のあのお話が大好きすぎて、思わず携帯のメールボックスにコピペ保存してしまったのはここだけの話。


昨夜から降りだした雨のせいで、部屋の中にいても肌に貼り付く湿度がどうにも鬱陶しくてかなわない。しかし寝苦しさゆえの起床というよりは、ごく自然に目覚めてしまったことが理由で、現在六時すぎを指す時計との対面を強いられているわけである。二度寝しようにも目が冴えてしまって瞼を閉じることにすら苦痛を感じ、眠るための手段を試行錯誤してるうちに湿っぽさが不快感を呼んで、とうとう俺は躰を起こす以外にすることがなくなってしまった。窓の外のか細い音に文句を言おうにも、罵るだけの言葉が見つからない。仕方がないので、こういうときだけ嫌に目覚めの良い自分の脳みそにうんざりしながら冷蔵庫を開ける。台所に散乱した空き缶や飲料水のペットボトルを蹴り飛ばしてベッドに戻った。
枕の下に入り込んでいた携帯を取りだし、深夜に届いていたらしい未読メールに目を通す。わざわざ見るような内容でもなかったので、返信せずに画面を暗くした。そうすると黒い液晶に映っただらしない自分の顔を見るはめになって、なんだか雨のことなどどうでも良くなっていく気がした。
携帯と財布と鍵だけをジャージのポケットに突っ込み、膨張した髪を乱雑に手櫛で整えながら玄関に向かう。履き潰したスニーカーを引っかけると、唯一あったビニール傘を手に家を出た。

地元住民しか使用しない細い裏道を進み、次の家の塀の角を曲がる。コンクリートの壁の上から顔を覗かせているのは椿だが、花を落としたその姿はどこか陰鬱だ。この辺りは水捌けが悪く、凹凸の激しいアスファルトのせいもあって大きな水溜まりができやすい。鼠色の空から逃げるように視線を足元に固定して歩いていると、やがて道路整備のされた広い道へと出た。普段は交通量の多い道だが、大型連休のためか今日は無人だった。
この位置からでも既に見えているコンビニの看板へと向かって歩きだしたとき、流れるような視界のなかで不意に、道路の向こうのバス停が目にとまる。雨避けのある停留所のベンチのすみに、人が座っていた。
気付けば俺は無人の道路を横切っている。ベンチの人影は雨に濡れた男のようであった。

「何してんだよ」

雨はまだ止まない。


***
グリウルのつもりで書いたけど、名前が出ていないので誰でもいいという。グリウルである必要性を急募します。
(ミニじゃなくて日記に更新したのは、最近日記に書く内容がないからだと本音を言ってみたり)



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