裏口 | ナノ


▽ oneday morning


朝。
クラトスは、明け方の薄暗がりの中、ぼんやりと目を覚ました。
隣には愛しい恋人が、スヤスヤと寝息を立てている。
よく鍛えられた裸の上半身が、彼が大人の男であることを物語っていた。
(昔は可愛らしかったのにな。いつの間にか立派になったものだ。)
長く美しい赤髪を指に絡めながら、クラトスは小さく微笑む。


テセアラの神子であるゼロスとは、彼が子供の頃からの付き合いだったが、いつの頃からか、互いに惹かれあうようになっていた。
それは、数年の月日を経て、次第に深い愛情へと姿を変え。

あの旅が終わったとき、これからは共に暮らそうと約束した。
そしてもう、2年になる。


クラトスがそっと頬に口付けると、ゼロスは小さく唸って寝返りを打ち、仰向けになった。
それと同時に剥いでしまった上掛けをかけ直そうとしたとき、彼の下半身の昂ぶりが目に入る。

(…ここも、すっかり立派になって。)
クラトスは、思わず赤面した。
クラトスのものより質量のあるソレは、今や夜となく昼となくクラトスを貫き、いいように翻弄していた。
主導権はいつもゼロスにあり、自分は彼のテクニックに溺れて、ただ喘ぐことしかできない。
そのたびにクラトスは、自分がいかに無力であるかを思い知らされるのだ。

肉体関係を持つようになって数年が経過しようというのに、未だその図式は変わることなく、クラトスには、自分ばかりが快感を与えられているのではないかという思いがあった。
もちろん、ゼロスも達してくれているから、感じているのはわかるのだが。
そればかりか、クラトスの体を最高だ、と褒めてくれたりもするが。
彼はいつでも余裕の態度だから、どうしても自分ばかりがいい思いをしているように思えてならなかった。

「……たまには、私がお前を導いてやりたいのだがな。」
クラトスは、ふぅ、とため息をついた。
が、程なくして、ある考えを思いつく。

このまま、今ここで。
彼を、襲ってしまえばよいのではないか。
幸いにして、ゼロスのものはすっかり臨戦態勢で、天を仰いでいる。
(これを、私が自分で受け入れてみたとしたら……?)
あるいは、いつも余裕の彼を翻弄できるかもしれない。
クラトスは熱に浮かされたような表情で、自らの下半身の着衣を脱ぐと、つい、と後方の入り口に手をやった。
いつもゼロスを受け入れているそこに、自分の指を差し込みクチュクチュと解す。
それすらも、普段はゼロスにしてもらっていること。

「あ……、ゼロス……。」

自らの指をゼロスの指と錯覚すると同時に、固かったそこは柔らかく開き、さらにもう一本の指を飲み込んだ。
(あぁ…、そんな……。)
すっかりゼロスに慣らされたイヤラシイ体。
それを改めて実感しながら、クラトスは、さらにソコを拡げていった。



(そろそろ、いいか……?)

しばらくの間そうして、受け入れる準備をしていたクラトスだったが、熟れた蕾が3本の指を飲み込むようになったのを機に、ようやくすべて引き抜く。
そして、そっとゼロスのズボンと下着を引き下ろした。
目の前に現れた、大きくいきり立ったものに、思わず息を飲む。

見慣れているとはいえ、朝日の差し込む中でみると、それはひときわ大きく見えた。

(……ゼロス。よい、か……?)

クラトスはゼロスのものに手を添えると、そこに唇を寄せた。


「っ、はぁ……、何だ……?」
クラトスがゼロスのものを愛撫し始めてまもなく、ゼロスは目を覚ました。
なんだか、体が熱い。
そして、下半身に、ぬるぬるとした感触。

「な、何してんの、天使様?!」

見れば、愛しい天使が、自分のものを口に咥えてちゅくちゅくと舐め回していた。
その扇情的な光景に、ゼロスは目を見開く。

「お、おい、どうしちゃったんだよ、天使様?!」
しかし天使は無言で、ゼロスのものをさらに奥まで銜え込むと、ジュッと音をたてて吸い上げた。

「うぁっ、ダメだって…! 朝っから、そんな……!」
「お前だって、朝から私を襲うではないか。」
「だから、それは……、うぁっ、く……!!」

クラトスは口を離すと、体を起こし、立ち上がったゼロスのモノの上に跨った。
そして先ほど解した小さな入り口に、今しがたまで舐めていたモノをあてがう。

「ちょ、ちょい待ち、天使様!」
「なぜ? 好きだろう、こうするのが。」
「そりゃ好きだけど…っ、くぅッ……!!」
「ぅ、あぁ、ゼロス……!」

クラトスは、ゼロスの制止の声を聞かず、ゆっくりと腰を下ろして行った。
「う、あぅ……! んぁあっ、天使様……!!」
「…どうだ、ゼロス。気持ち良いか?」
「あッ、やっ、ダメっ……!」
「ふふ、可愛いな。」
「何だとぉ? あ、あんたの方が、よっぽど……、うぁッ!!」
ゼロスの抗議も空しく、天使はさらに腰を沈めて行く。
熱く柔らかい粘膜がジュブジュブと濡れた音を立てて、逞しい陰茎を飲み込んで行く様はひどくエロティックで、ゼロスは荒い息をつきつつ、それに見入った。
やがて根元まで咥え込んでしまうと、天使はゼロスの腹の上に手をつき、ゆるりと腰を浮かせた


「んっ……、ゼロス……。動く、ぞ……。」
「え、えぇえ?! もう、天使様、どうしちゃったの?!」
「うるさい…っ、いいから、お前は黙って感じていろ……!」

言うなり開始された律動に、ゼロスは目の前がチカチカと発光するような感覚を覚えた。

「っ!! んあっ、天使様…ッ!!」
「ふぁ……ッ、ゼロス…!」
「コラ、は、激し、って……!!」
「あ……ッ、ふあぁ……ッ!」

クラトスは無我夢中で腰を振った。
普段、ゼロスがしてくれているように。
しかし、程なくして快感に体を起こしていられなくなり、ゼロスの胸に倒れこむ。
ゼロスはそれを抱きとめると、自らも、天使の体内に出し入れを繰り返した。

「あ、はっ、天使様、最高……!」
「うぁっ、ゼロス、感じて、くれているか……?」
「あったりまえでしょ……! あんたのナカ、すっごくイイ。熱くて、ぐちゃぐちゃで、キっツくて…! もう、俺様、すぐイっちゃいそう…。」

その言葉に、クラトスは嬉しそうに笑った。

「いい、ぞ、我慢するな……。このまま……!」
「うっ、く、ダメだ、あんた、まだイかないだろ…っ?」
「よいのだ。いつも、私ばかりが、先に達してしまっているから…っ。たまには、お前が…、」
「っ、あっ、ダメだって、天使様…!!」

ゼロスの制止をよそに、クラトスは腰を揺らし続ける。
もともと感じやすいカラダゆえ、先に達しないよう我慢するのは苦しいほどだったが、今日だけでも、ゼロスに先に達して欲しかった。
やがて、ゼロスは切なげに眉を寄せる。
「んっ……! 天使様、もうダメだ……ッ!!」
「あっ、ふぁっ、ゼロス……!!」
「クラトス……! ゴメンっ……!!」

ゼロスの身体がビクン、と跳ねたかと思うと、体内が熱で浸される。
クラトスはそれを、至福の思いで受け止めた。

が、それも一瞬のこと。
続いて勢いよく注ぎ込まれた熱いほとばしりに、クラトスは目を見開いた。
熱さは変わらないが、その量が、いつもの射精の比ではない。

「あっ?! な、なに?! 嫌……!」
「あ、ダメ、今抜いちゃ! 全部出し終わるまで待ってて……! くぅっ……!」
「あっ、あぁっ、うあぁァんっ…!! ゼロスぅっ……!!」
クラトスは事体が把握しきれず、涙をこぼしてゼロスの上で身を捩った。




「あーあ、だからダメって言ったのに。ごめんねぇ、天使様。」
「う、うぁっ、く……!」
「朝勃ちって、少なからずそーいうことなんだからさ〜。」

ゼロスは、へらへらと笑いながらも、決まり悪そうに謝った。
そう、男性の朝のそれは、たいていは膀胱にたまった水分の圧迫によって起こるもので。
要するに。
寝起きでトイレに行くことも侭ならなかったゼロスは、クラトスの中に、溜まっていた水分を放出してしまったのだった。
初めての感覚に、クラトスは戸惑い、身を震わせる。

まさか、こんなことになろうとは。
はっきり言って予想もしなかった。
ただ、自分から彼を襲って、いつもの余裕を崩したかっただけなのに、逆に、陵辱されたような気分に陥る。

屈辱と腹部に感じる違和感に、ざわりと背筋が粟立った。
そんな彼をよそに、ゼロスは楽しそうに言い放つ。
「で、どうする? このまま抜いたら出ちゃうよなぁ。俺は別にベッドの上で出してもらうのもイイな〜、と思うけど、アンタは嫌だろ?」
「う……!!」

もともとが想定外の出来事。
この後のことなど考えもしなかったクラトスは、処理をしなければいけないことにハタと思い当たり、困惑した。
ベッドの上で出すのなんて、絶対に嫌だ。
だが、体内に大量の水分が入っていることからくる排泄感は待ってはくれなくて。
苦肉の策で、クラトスはゼロスに懇願した。
「頼む、ゼロス……! バスルームに、連れて行ってくれ……!」
「あー、そうね。でも、ひとつ約束してもらおうかな。」

この期に及んでニヤリと意地悪く微笑むゼロスに、クラトスは焦れた。



「な、何をだ……!」
「俺も、その場に立ち合わせてくんなきゃヤダ。」
「?! ば、馬鹿者! 出来るか、そんなこと!!」
「あれ〜、先にイタズラしたのはアンタだろ〜? 何ならいいんだぜ、ここで出してもらっても。」
「ッ……!! わ、わかった、から、早く……!!」
「はいはい。じゃ、ちょっと立ち上がるからね〜。」

体をつなげたままバスルームに連れて行かれたクラトスは、そこでゼロスのものを抜き取ってもらい、彼の見ている前でとんだ痴態をさらすことになってしまった。
おまけに、その光景に興奮しきりのゼロスに再び貫かれ、今朝のイタズラの報復をきっちりとされたのは言うまでもない。


「まったく、他のことならともかく、色事で俺様に勝負を挑もうなんて、100年早いっての。わかったかな〜、天使ちゃん。」
「あっ、く……! わかった、わかったから、もう、やめてくれ……!」
「だーめ。当分こんなことしないように、きっちり教え込んでやるよ。このカラダにな。」

いたずらっ子を懲らしめる様に、だがそれにしてはやたらと楽しそうに、ゼロスは何度もクラトスを突き上げた。
朦朧とする意識の中、クラトスは思う。
こんなことをされても嫌だと感じない自分は、一体どれだけゼロスに惹きつけられてしまっているのだろう、と。

一方のゼロスも、この恥ずかしがり屋の天使が自分を襲ってくれたことを、内心快く思っていた。
滅多に何かを求めることをしない彼が、自分のことだけは、こんなにも欲してくれる。そのことがたまらなく嬉しくて。


結局のところ、愛し愛されて、幸せに暮らしている二人は、日が高い場所に上るまで、存分に互いの思いを交歓し合ったのだった。

End.


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