技名で短編 | ナノ


※ネイティたちの井戸端会議


《おのれ、主にあんなことを…眼鏡小僧の分際で…!》

《そう言う貴方はずっと主の布団の中に入っていたでしょう》

《ずるいですー》

《主の腕が僕を離してくれなかったもので》

《嘘おっしゃい》

《僕もずっと下で貴方を支えてて重かったですー》

《それは申し訳ない》

《でも主はあの眼鏡といる時は、とても幸せそうな顔をしますね。》

《恋人同士だからでしょう》

《ずるいですー》

《幸い僕達の会話は人間には聞こえないので、こういったささやかな嫌がらせしか出来ないわけですが》

《陰湿ですねー》

《あの方が本当に主を必要とし、主があの方を必要としているのであれば、主にとってわたくし達は単なる邪魔者に過ぎないでしょう》

《うぬぬ…》

《でも気に食わないのが本音ですねー》

《そう。そうなのですよ。》

《僕達は幼少の頃から主を見て、側でお守りしてきましたからね。そうやすやすと主を引き渡すわけにはいかないのです》

《でもあの人も主の恋人になってからだいぶ経ちましたよー》

《それこそが今回の会議の主題です》

《と言うと?》

《言うまでもなく、主をお守りすることがわたくし達の役目です。それはどれだけ年月が経っても変わりません。そうですね?》

《勿論》

《はいー》

《さっきも言いましたが、主とあの方が愛し愛され、互いに互いを必要としているのであれば、わたくし達のしている事はありがた迷惑、それを越して多大な迷惑になります》

《認めたくはありませんが…》

《異議なしですー》

《このまま続けること、それはわたくし達のポリシーに反することになります。わたくし達は常に、主にとって最善の行動を取るのが存在意義ですので…》

《つまり、こっそり嫌がらせをするのから、こっそり応援をするのに変えると言うことですか?》

《その通りです》

《なるほどー》

《しかし、まだあの方がそれに値する人物かどうか確信するには、まだ時間が必要です。》

《私情も含めてですか》

《それについつは否定できません》

《僕もですー》

《行動範囲が狭いわたくし達には難しいですが…、今後はあの方の見極めに全身全霊を尽くすこと》

《了解ですー》

《分かりました》

《そう言えば何かー、来週新しいポケモンが来るそうですよー》

《え!?》

《それは本当ですか!?》

《はいー、この間主が主のお父様とライブキャスターでお話しているのが偶然耳に入ってしまってー》

《何故もっと早くに言わないのです》

《成程…、ここは早いところ、その新入りをこちら側につけておくのが賢明ですね》

《追加情報だとー、僕達よりもはるかに大きいそうでー》

《なら尚更ですね。行動範囲が広がるチャンスですよ》

《今までは三段になってもドアノブに手が届かなかったですしね。これは有り難い》

《肝心のポケモンの種族名は聞いていなかったのですか?》

《えーっと…、長い名前でしたー。聞いたことなかったのでー、きっとイッシュかシンオウのポケモンだと思いますー》

《5文字か4文字ということですね。しかしそれだけではとても…》


「ネイティ、ごはんできたよー」


《!!》

《とりあえず今日はここまでにしましょう。さあ、主を待たせてはいけませんよ》

《ではまた、時間ができたら》

《いただきまーす》









「ねぇ☆、何か今ネイティが喋ってたように聞こえたんだけど…」

「?チェレン、夢でもみたの?」

「いや…何でもない」



 
- ナノ -