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※会話のみ



「なーなー☆、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」

「あ、ヒビキ。なに?」

「あー…、何て言うか、…………あー、説明しにくいんだけどさ」

「? なに?」

「ほら、よく言うじゃん。゛あんたには〇〇のかけらもないのね!゛みたいな!」

「?」

「何かこう、空気読めないみたいな、下品みたいなさ」

「……あー、何か…あったね……何て言うんだっけ」

「それが思い出せないんだよな」

「……んー…、プライバシー…的な」

「あ、やっぱり思った?それ」

「でも違うんだよね、プライバシーって個人情報、とかだし…」

「そーなんだよなぁ」

「んー……ポリシー…は違うね」

「俺もさっきそれ思った 全く同じ道筋辿ってるな」

「何だろ…何か気になりだしたら止まらない…」

「だから☆に聞いたんだけどな」

「ごめん、ど忘れしちゃった」

「よし、出てくるまで一緒に思い出すぞ」

「うん」



「………………」

「…………んー」

「…やばい、プライバシーとポリシーしか出てこねぇ…」

「一回思いついちゃうとなかなか離れないよね」

「プ、プレマシー……?あれ、ちょっと近くねぇか」

「それは確か…車、だったような…」

「あぁ、ホンダの…」

「パ行ではじまってシーで終わるのが共通点みたいだよ、今までのは」

「パ…ピ…ピーシー」

「パソコン?」

「……いや……」

「パ…ピ…プ…プレマシー…は、今言ったんだよね…」

「あれ、何思い出そうとしてたんだっけ」

「えっと……あれ?……あぁ、何か…空気読めないみたいな下品みたいな」

「そうだったそうだった」

「ペ…ペルシー…、は、ペルシアンか…」

「アイロジー」

「なにそれ?」

「いや…知らないけど何かパッと出てきた」

「何かあったよねそんなん」

「トリロジー」

「あぁ、それも聞いたことある…」

「カリグラフィー」

「…何かどんどん離れていってるような…」

「あれ、また何思い出そうとしてたのか忘れた」

「空気読めなくて…デリカシーがないみたいな…」

「………」

「あ」

「あ」

「………」

「………」

「…デリカシー」

「…だったっけ」

「゛あんたにはデリカシーのかけらもないのね!゛」

「おぉ」

「デリカシーか!」

「みつかったね」

「あぁ」

「すっきりしたね」

「おう!」

「……………。」

「……………。」






「((よくあるよくある))」


 
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