※シリアスではありません
※激しくキャラ崩壊orz
※銀妙前提、沖→神→新的な?





「おいチャイナ!これは一体どういうことでさァ!」


ドンッと硬く握った拳をテーブルに叩きつけ、眉を吊り上げ怒りの表情を浮かべた沖田が叫ぶ。
そんな沖田の前には、沖田の怒声にも一切怯むことなくその場に仁王立ちした神楽の姿。その丸く可愛らしい鼻が、フンッと小さく鳴った。


「どういうこともないネ、そういうことアル。私はこの、新治さんと一緒になることにしたのヨ!」

「いや、新治じゃなくて新八だから。変に名前変えないでくれない?」


やけに芝居がかった口調で沖田にそう言い放つ神楽。その隣にいるのは新八で、二人の間で組まれた腕を見せ付けるように、神楽はずいっとそれを沖田の前に突き出して見せる。
それを見た沖田の顔は一気に青ざめ、パクパクと口が上下する。


「嘘だろィ・・・、俺とは遊びだったって言うのかよ!」

「当たり前ヨ、誰がお前みたいな奴に本気になるネ。・・・ほら新八、ここでお前が!」

「え、えーと・・・。ぼ、僕と神楽ちゃんは、来週結婚する予定なんだ」

「そういうことアル!お前はさっさと私たちに多額のご祝儀を寄こすがヨロシ。定春のエサ代にでも使ってやるヨ」

「誰がご祝儀なんてくれてやるか。俺は絶対許さねェぜィ、チャイナが俺の物にならねェなら・・・・・・、それならいっそ、今この場でお前を殺して俺も死んでやらァ!」


きゃー嫌アルー!死になせィ眼鏡ェェッ!ええええッ!?なんで沖田さんが僕を狙ってくるんですか!ここは神楽ちゃんを殺そうとする場面でしょ!きゃーヘルスミー!死ねェエエー!ギャーッ!




「・・・・・・何やってんの、アイツら」




阿鼻叫喚の場面を繰り広げる彼らを、ぼけーと志村家の縁側から眺める銀時がそう一言。
そこに、同じく銀時の隣に腰掛けた妙が「ああ」と笑顔で答える。


「リアルおままごと、らしいですよ?」

「・・・・・・ああ、そう」


みんな楽しそうですね、と妙は遊びまわる子供らを遠くから見守る母親のような温かな笑みを零すが、横の銀時はいやいやコレのどこが?と口元を歪ませた。

銀時の目に映るそれは、最早ただの乱闘。新八に至っては既にかなりの重傷である(眼鏡のレンズ部分破損)。そもそもアレが本当にリアルおままごとという代物なのか。


そのとき、ギャーギャーと喚いていた三人の中で止めろ止めろと大きな声が上がった。その声の主は神楽で、パンパンと両手を叩きその場を静まらせた。


「ストップ!ストップネ!こんなの私の目指すリアルおままごとじゃないヨ!」

「そ、そうかな?五分クオリティの台本にしては十分だった気がするんだけど」

「全然ダメダメヨ!新八ィ、お前はもう少し自然に演技できないアルか。演技がベタベタ過ぎるネ」

「だって僕こんなこと慣れてないし・・・。そもそも、こんな泥沼関係の昼ドラなんてやりにくいっていうか・・・」

「ハッ、純情ぶってんじゃねーよ童貞が」

「か、神楽ちゃァんん!?語尾ッ!いつもの語尾を忘れてるよ!?ていうか童貞って言うんじゃねェェエエッ!」


目を剥いて取り乱す新八。その動揺すらも自身が童貞であることを示すことに気付け新八よ。

そしてそんな新八を完璧に無視して、神楽は次に目の前の沖田へ指を突きつける。


「あとサド!お前も!」

「なんでさァ、俺の迫真の演技に文句があるってのかィ?」

「いやその逆アル。お前は役に入り込みすぎネ!なんか必死すぎて気持ち悪かったアル!」

「・・・・・・・そりゃあそうだろィ」


眉をひそめ、苛立つような若干低い声でそう告げた沖田。
その沖田の視線が注がれる先には、先ほどからずっと、そして未だに組まれたままである神楽と新八の腕がある。その視線がビリビリと殺気立っている気がするのは本当に気のせいなのか。それと、

(どうして俺が捨てられる愛人設定なんでさァていうかオイ眼鏡テメェさっきからチャイナの胸に肘あたってんぞコラ絶対確信犯だろィあとで絶対殺してやらァ)

そんな恐ろしい呟きがブツブツと聞こえてくるような気がしないでもない。
だが沖田の不機嫌の意味が全くわからない神楽と新八の二人はただ頭上にハテナマークを浮かべるだけであった。


「とりあえず、今の私たちに足りないのは、バイオレンスさアル!」

「「バイオレンスさ?」」

「そうヨ!憎むゆえに愛す、愛すゆえに殺す!私はそんなのがやりたいネ!」

「いやいやいや、神楽ちゃん?一応僕らまだ十代だから。そういう重たい人間ドラマなんて無理だと思うんだけど」

「バカヤロー、若い私たちだからこその挑戦アルヨ!無理だと最初から決めつけたらそこで試合終了ネ!」

「じゃあよォ、チャイナ。お前の言うそのバイオレンスな愛憎劇ってヤツの見本を、俺たちに見せてみろィ」

「おう、わかったアル!それじゃあ銀ちゃん、アネゴ。ちょっと協力してちょーだいヨ!」

「・・・・・・はいぃ?」


三人の騒ぎには全く関わりのなかった銀時と妙に向けて、突然神楽がそんなことを言い出した。

銀時からすれば飛び火が飛んできたようなものである。しかもその火は触れただけでも大火傷してしまいそうなほどの火力を持っていそうだ。

なんで俺がと溜息をつき、さてどうやってこの状況から逃げようかと思案を始める銀時だったが、その隣で。


「いいじゃないですか、バイオレンスな愛憎劇。面白そうですよ?」

「・・・コレのどこが面白そうなんだ」


C級映画ばりの嫌な予感しかしないそれから出来れば参加を辞退したかった銀時だったが、キラキラと輝く神楽の瞳と、断ったらされるであろう妙からの拳を恐れて渋々了承してしまう。


「じゃあまずは設定からアル。アネゴと銀ちゃんは夫婦って設定ネ!」

「へ・・・・・・?」

「オイ天パ、何顔赤くしてるアル。おままごとって言ってんだろーが」

「わ、わーってるよ!ていうか赤くなんかなってねェよ!」

「そして私が銀ちゃんの愛人で、たった今三人が鉢合わせしたという設定アル」

「なんというか・・・、マジでリアルな修羅場設定じゃねーか」

「ムフフッ、リアルおままごとだからこそ出来る、このリアル感ネ!」

「別に褒めてねーぞ。ていうか神楽、俺がお前みたいなガキを愛人にするワケねェだろーが」

「あら、ガキじゃない愛人なら身に覚えがあるのかしら?」

「ちょ・・・ッ、おまッ、どうしてそういう解釈しちゃう!?ありえないから!銀さんは常にお前一筋だって!」

「ん、あれ銀さん?今何かさりげなく、すごいこと言いませんでした?」

「あー、いやァ・・・?ただの空耳じゃないかな新八くーん」

「そうですか?」

「うーん・・・。たしかに銀ちゃんの言う通り、愛人は無理があるかもしれないネ。それじゃあ、隠し子あたりで妥協してやるヨ」

「まあ、隠し子がいたなんて・・・!私のお腹にいるこの子はどうするおつもりですか?」

「オイオイ、何でお前もそんなにノリノリなの?」

「ちょっとすいません、姉上のお腹にいる子供ってどういうことですか」

「いやいや新八くぅんん?これはあくまでも、おままごとだからね?嘘100%!だからその手に持った木刀は大人しく下ろそう!危ないから!」

「正妻には子供がいるアルか!?うおー燃える展開ネ!じゃあ、私もアル!私のお腹にも銀ちゃんの子供がいるヨ!」

「オイィィイイッ!?なんか設定メチャクチャになってねーか!?隠し子が俺の子妊娠してるってどういう設定だ!」

「・・・・・・・・・・・」

「沖田くぅぅんんん!?だからね、コレおままごとって言ってるよね!?嘘だから!信じないで!無言で刀抜くってのが一番怖いから!」

「すいやせん旦那、つい反射的に」

「反射的にも何も、俺が神楽なんかを相手にするかボケェ!大体神楽だろうが誰だろが、俺はお妙以外とはそんなことしねーから!」

「・・・・・・・・・はい?」

「・・・・・・・・・あ、」

「姉上以外とはそんなことしないって、一体どういうことですか?」

「え、えーと・・・、今のはアレだよオメー、銀さん迫真の演技っていうか・・・」

「銀さん、額の汗ダラダラですけど」

「いやいや、違うんだよ新八くん?つまり銀さんは名俳優っていうか、まあ今の発言は事実に基づいた演技というかまあ確かに事実っちゃあ事実なんですがハイ結論的に言えばすいまっせーんんんッ!」

「死ねェェエエ!天パァァアア!」


最後の辺りからほぼ謝罪に化した銀時の弁明が終わるなり、割れた眼鏡の奥をギラギラと光らせて飛び掛った新八。


死にさらせェェエエ!ギャアアアァァ!

悲鳴と怒声と打撃音が混ざり合い、志村家に再び阿鼻叫喚が訪れる。

そんな光景を見ながら、うんうんと両手を組んで一人満足気に頷く神楽。


「そうヨ、コレアル!私はこういうバイオレンスさが欲しかったネ!わかったアルか?」

「たしかにバイオレンスではあるが・・・。悪いがチャイナ、俺には全然わかんねェ」

「なんだとサド、とことん私とお前はぶつかり合う運命にあるアルな」

「・・・・・・なんでだろうな。運命って言われてんのに全く嬉しくねェや」

「は?何言ってるネ?」

「いや、別に」


ああ今の俺って哀れだなァと、思う沖田であったが、それはすぐに撤回する。でもまあ、あそこでボコられてる銀時よりかはマシかと気付いて。





【let's Violence!】





(おまけ的なもの)


「ああ、もう!少しは手加減しやがれってんだ新八が・・・。あー、痛ェ・・・」

「私は関係ないですからね。バレたのはあなた一人の原因です」


そういえば神楽ちゃん喜んでましたよ。理想のリアルおままごとだったって。

クスクスと、口元に手を当てて笑う妙。とその時、銀時はそういえばとあることを思い出した。


「なァお妙ー」

「はい?なんですか?」

「あれって、やっぱり冗談だよな」

「あれって・・・、何のことです?」

「ほら、あのお腹の子供がどうとか。なんかすげーノリノリだったよなーあの時のお前。流石の銀さんでも一瞬焦っちまったわ」

「いえ。本当ですけど」

「・・・・・・はい?」

「さっき病院行って来たんですけど、三ヶ月ですって」

「・・・・・・マジでか」

「これからたくさん稼いでくださいな、お父さん?」

「お父さんは嬉しいですけど・・・、新八にはどう説明するよ?」





たった今半殺しにされたばっかりなのに。
今度はきっと、お父さん死んじゃうよ?
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