「なにからなにまで同じだな」

そこは、ぬいぐるみやブロックなどの玩具で埋め尽くされた子供部屋だった。

二人の子供が仲良く積木を積んで遊んでおり、その子供に向かって学ランを着た少年が立っている。


「吐き気がするな、九瑠璃と舞流を見てると」


二人の子供──九瑠璃と舞流は、何が何だかわからないといった様子で口をぽかんと開けて、すぐ側に立っている二人の兄──折原臨也を見つめた。


「顔も同じ、髪型も同じ、服も同じ、オモチャもおやつも部屋も同じ、何をするにもずーっと同じ。そんな人生、何が楽しい?自分一人だけのものじゃない人生に、意味なんてあるのかい?」


矢継ぎ早に紡ぎ出される兄の言葉に双子はついて行けなかったが、どうやら兄が自分達を悪く言っているのだろうという事は雰囲気でわかった。

だからと言って何かを言い返せる程に成長していない二人は、ただ臨也の言葉に耳を傾ける事しかできなかったのだが。


「俺の言ってる事わかる?」

ふるふると、双子は首を横に振った。

「君達はいつも一緒にいて、いつも一緒の格好で一緒の事をする。それが気味悪いって言ってるんだよ」


双子は段々と大好きな兄が怖くなり、目に涙を溜め始める。
全く同時に二人の頬を流れる雫が臨也を更にいらつかせていると気付かずに。


「常に自分と同じ事をしている人間が居るっていうのは、自分自身の存在価値を無くすと思わないかい?」

「というより、なにからなにまで同じ奴が二人いるって言うのは変だ。そんなの、一人一人違う人間らしくないじゃないか」

「なあ、そうだろ?」

口を挟む間も無い程にすらすらと述べられる双子への否定。

九瑠璃も舞流も臨也の言っている事が全て理解できたわけでは無かったが、人間観察が趣味の臨也が言わんとしている事はわかった。
自分達が双子であるというどうしようもない事実に、臨也が嫌悪感を抱いている事も。


それは、兄の事が大好きな二人にとって、取り返しのつかない傷となり───────……


二人にとっての大きな変化のきっかけとなった。





(世界が未完成だった頃)



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