槍剣(キスのお題) (
0)0519 22:31
「お前が、欲しい」
どんな女子でさえ確実に落としてしまいそうな声で、彼が言った。ここぞという時に彼が出すその低い音は、いつも、ずるいと思う。
鼓膜が、胸が、甘く震える。
「駄目です」
私はふるふると首を横に振った。
「離して、」
強く胸板を押し返した。ギシリとベットが軋む。それなのに彼はびくともしない。
かの騎士王が男一人を前にして、なんと情けない事か。
「アルトリア」
やっぱり彼はずるい。
今だけその名前を呼ぶなんて。
いつものようにセイバー、と私を呼ぶ友の姿は今はそこにない。目の前にあるのはただ私を求める男の顔だ。ああ、けだものだ。
……けれど、それにあてられている私も私なのだろう。
彼が本気を出せば、魅了の呪いなどおまけのようなものだと感じる。言葉が、仕種が、全てが私を欲していた。私が彼を愛するように、彼も私を愛していた。
顎を掴まれ、俯いた顔を無理矢理上げられる。思わず目を見開いた。その視線の先に固定されたのは、黄金に溶かした蜂蜜の瞳。その色に、息を呑む。
「はな、して・・・ランサー・・・」
顔が近い。
鼻先に吐息を感じる。
そっと添えられた手が、じんわりと熱を持っている。
「ディルムッド、だ」
初めてのキスは、貪るようなキスだった。
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槍剣さんにオススメのキス題。シチュ:ベッドの上、表情:「目を見開く」、ポイント:「顎に手を添える」、「相手にキスを迫られている姿」です。 #kissodai http://shindanmaker.com/19329
槍剣さん(^o^)