ディルソラ(槍剣) (0)
0403 19:30


「私を愛して、ランサー」


馬鹿みたいだと思った。
狂っていると思った。

でも、それが一番賢い使い道なのかもしれなかった。愛とは全てを支配するものだ。
たくさん悩んで悩んで、ようやく決断したのだろう。彼女は小さく唇を噛み締めてから、そう言った。

すうっと手の甲の印しが光を放って消える様子は、もう既に、俺の目を釘付けにしていた。綺麗な手だ。綺麗なひとだ。滴るような甘い女の匂いにくらりとした。

滑稽な願いは叶えられた。
偽物の想いが混じり合う。

瞬く間に俺の頭の中は赤い薔薇の花片でいっぱいに埋め尽くされた。墜落するように溺れて行った。幸せだったし満足だった。比喩ではなく、彼女さえいれば、食事も娯楽も他には何も要らない。
なのに、誰より愛しい彼女を抱いているのに、この心から離れない人がいる。小さな影が胸の奥底で狂おしくその存在を主張する。

ああ、頭が割れるようだ、

いっそこの身をばらばらに引き裂いてしまえたら。


「あの女が忘れられないのでしょう?」


背反する二つの気持ちに終止符を打ったのは、


「違う、嫌だ、違うんです」


二人を繋ぐ、最後のひとつ。



「セイバーの事は忘れなさい」


赤い光に目が眩む。


記憶はあの夜の黄薔薇の末路のように掌から零れ落ちて、砂になりさらさらと消えて行った。
もうそれが敬愛だったのか、憧憬だったのか、恋慕だったのかすら定かではない。

彼女の瞳は何色だった?

いや、彼女とは誰だったろうか?

俺の恋人は目の前にいるのに、どうしてこんなにも苦しいのだろう。



(愛してたの?)





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何だこの表記(笑)

ソラウさまが好きです。
悪女なところも好きなんです。
…すみませんでした!

原作の影響なのかなんなのか
薄暗い話ばかり思い付きます。どうにかして。
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