ミンミンミン…

蝉の鳴く声が響く

真夏だ

暑い、暑い、暑い
つー…っと汗が顔を伝うのを感じる。そんな中、なぜ私は外にいるというと…あのちんちくりんな渚に「すぐいくから!待ってて」と言われ今外で彼を待っているからである。
でもね、彼がそう言ってから10分はたっている

渚のすぐってどのくらいなの。

このままでは死んでしまう
先に行ってしまおうか…
足を一歩踏み出したとき、ぐらりと視界が揺れた。

あ…立ちくらみ…

呑気にそんなことを思っていたらガシリッとなにかに支えられる。
この微かに香る甘いような香りは──…



『…渚』

「大丈夫!?
 ごめんね待たせちゃって」

ゆっくりと元の体制に戻して少し私より背の高い彼は私の頭をぽんぽん撫でながら言った


『渚おそいー』

「ほんっとごめんね!
 あまちゃんと話してて!」


渚は今水泳部で頑張ってる
そんな彼を応援したいし、かっこいいと思うし…でも最近構ってくれないのは彼女の私としては

さび…

寂しい…です


(つんっ)





『…なに』

「秋羅のほっぺた
 ぷくーってなってた!」

『もー
 だからって、つんつんすんなー!
 あっ!なにそれ、私の真似!?』

少し怒ってみせたら今度は渚がほっぺたを膨らました
私の真似みたいだ。似てない似てない
今度は私が渚のほっぺたをつんつんとした。
そして渚がなにかハッとしたような顔になる

「秋羅、アイス食べようよー!
 待たせちゃったお詫びに、
 奢ってあげる♪」

『えっ
 いいよ、』

「だめだめー
 彼氏が奢るなんて常識でしょ?」

『う、うんー…』

「またほっぺた膨らましてる
 ほっぺた伸びちゃうよー(笑

 …あ、バニラ好きだったよね」

『のびない!

 あ、うんっ!バニラがいい!』


好きなの…覚えてくれてたんだ…!
なんだか渚にまた惚れ直したな…
お店の近くにあるベンチに座り2人でアイスを食べた
口いっぱいに広がるバニラの甘さ、それにひんやりと感じる冷たさ。ああ、美味しすぎる。アイス万歳。渚には美味しそうに食べるねぇと言われてしまった
そんなに顔にでてたかな?

すると、突然渚が喉を鳴らしながら笑いだした

『え、なに?』

「ククッ…秋羅、
 口の端にアイス付いてるよ
 可愛いなぁ〜」

『ふぇ!?
 まじ…



 ……か?』

「だめー」

あわてて拭こうとしたら、渚に腕を掴まれ阻止された。なんで…と思っていたらすでに渚の顔が目の前にある
え、え、と思っていたら口の端に柔らかい感触とペロリとなめられるような感触を感じた

だんだん顔に熱がのぼるのがわかった。
暑い、暑い、アイス食べたのにまだ暑い

「ごちそーさま」


爽やかに可愛らしく笑う彼に私はさらに熱があがった気がする

『な、な、な…っ

 渚のあほっ!』

「えーっ!!?」



夏のバニラアイス

(秋羅)
(なに…)
(大好き)
(………うん、私も//)

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