夏祭り(幼少期)

真夏

蝉がミンミンと鳴くその夜

夏祭りが行われていた



「おっせーなぁ」

唇を尖らせムスッとした顔をする凛

「まぁ女の子は時間かかるって
 いうしね」

「はやく来ないかなぁ」

「(…泳ぎたい)」

スイミングスクールに通ってるいつもの4人が甚平を着て待っていた
そこにカラカラと音を立てて少女が駆け寄ってきた

『ご、ごめ…
 動きづらくて…
 ?みんな?』

薄いピンクの着物を身にまとった秋羅に4人は口をあんぐり開けた

「わぁ!
 あきちゃんすっごく可愛いよ!」

『ほんと!?』

ぱぁぁっと嬉しそうな笑顔になる秋羅に4人はまた少し赤くなった

「ったく、
 おせーっつうの!」

『だってりーちゃんが
 浴衣着てこいって言ったじゃん』

「りーちゃんって呼ぶな
 ぱっつん!」

『ぱっつん可愛いでしょ!
 なによ!ナギみたく
 少しは褒めてくれたって
 いいじゃんバカ!』

「ば…っ」

「ま…
 まぁまぁまぁ!
 落ち着いて2人とも
 せっかくお祭り来たんだし
 楽しんでこう?」

「………」

『マコが言うなら…』

渋々とうなずく秋羅にまだ不機嫌そうな顔をする凛
真琴がうまく宥めてくれたおかげで、なんとかまとまれそうだ

『ふぁっはー!
 すごーい!キラキラだぁ!』

「秋羅ー
 ちゃんと前見て歩かないと
 ころ…あ」

真琴が言った瞬間下駄をつっかえて転んだ秋羅
慌てて真琴が駆け寄れば、にへらっと笑い楽しい!と言った

「まったく…
 手、繋ぐよ」

『わぁいお兄ちゃん!』

「お兄ちゃんじゃないからね」

「…ん」

『ん?』

「…手、
 両方繋いでれば安心」

『…おー!
 天才!』

左は真琴に、右は遙に手を握られ上機嫌になる秋羅。
真琴の左には渚、遙の右には凛が繋ぐことになった
仲良しこよしだ! 

それから、焼そば、かき氷、たこ焼き、リンゴ飴とお祭り定番のものを食べた

どれも美味しくて最高だった!

『あ』

「どした?秋羅」

『うさぎさんだぁ…!』

「うわぁ…!」

大きなぬいぐるみが射的屋においてあった。
目を輝かせる秋羅、と渚

『かわいい!』
「かわいいよ!」

身を乗り出して見る2人に凛は近づいた

「オレ、取ってやるよ」


『!』

「そこ2人も協力してくれよな!」

「えっ
 俺苦手なんだけどなぁ…」

「めんどくさ」

『とって、くれるの…!?』



「「…………」」


純粋に目をキラキラと輝かせながら首を傾げ聞いてくる秋羅に2人は何もいえなくなる

ニヤリと笑う凛につられ結局3人でとることになった
渚は応援係
三百円で三回。まあだとうな値段である



「頑張れまこちゃん!」
『いけるよまこ!』

「うんー…
 やってみる、

 ……いくよ」

2人に応援され苦笑いしながら構える真琴
すごくカッコ良く見える真琴に秋羅はキラキラと目を輝かせ頬を赤くさせた

──パァンッ


勢いよく放たれた弾はうさぎの右肩にあたりぐらりと揺れた

「あー」
『おしいー!』

「難しいねこれ」

眉をハの字にして笑う真琴にカッコ良かったよ!と、抱きついた
なんだか改めてこいつらのイケメン度が高いってわかったらなんだか直視できない

はいっと次に渡されたのは遙

スッと片手で構えてまた勢いよく放った

─パァンッ

ぐらりと揺れるが倒れはしない
でもつぎには倒せそうな感じだ

「…ごめん」

『ううん!
 当たるだけでもすごいもんっ!』

そう言えば小さく笑った遙
またもやそんな可愛らしい笑顔にノックアウトされた私
どうすればいいの

「次おれだなー
 見てろよー秋羅」

『まかせとけっ!』


スッと構え、じっと標的を合わせる凛。いつにもまして真剣な顔をしている凛に秋羅は微笑んだ

やってくれると信じてるよ、りぃ


──パァンッ


   ─ドサッ




「や…っ」

「「おー!」」

「すごーい!」

『やったね!!凛っ!』

ぴょんぴょん跳ねて抱きつけば、やったな!とあたまを撫でられた

おじいちゃんからうさぎを貰いキラキラと輝く秋羅の顔
いいなぁいいなぁとキラキラさせる渚

『みんなの思いがつまった
 うさちゃん頂やした!』

「ははっ
 なにそれっ」

「まってまってー!
 僕もっと思いこめる!」

「俺も…」

「俺はもうつめきったから」

『超大事にする!

 みんなっありがとう!』






**


『花火はじまるってー!』

「秋羅、また転けるよー」

「元気なヤツだなー」

一番よく見える
少し人通りの少ないところに五人で座った
そのとき、ひゅー…どぉんっと空が鳴り響いてキラキラと花火が舞う

『きれー…』


ちかちかと星が散りばめられたように、キラキラと輝く花火
その光景に五人は釘付けになった

「綺麗だねー!」

「そうだねー」

「でかい…」

『あははっ』

「…またよ、」

凛の声に四人は凛の方へと向く

「また、

 来年も…再来年も来ような」



「凛…」

『当たり前だよ、
 りぃ』

「楽しみだねぇ!」

「うん、…楽しみだ」



夏祭り

(ずっとこのままでいたい)



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