君と僕らの話 | ナノ





「で?
 一緒に探せってか」

『いいよー!
 お姉さん頑張っちゃる!』

「うん、
 で、なんで千鶴ボロボロなの?」

「いえ…」


彼女と探し物


なにやら春から貰ったというキーホルダーを無くしてしまったらしい茉咲。
あらまぁ、なんて思いながら春以外で密会を開いた

「物は小さいくまのキーホルダー」

「あ──…」

『どこかに引っかかってるかもね
 他の人のバックとかだったらヤバいよね…』

「うぅ…」

「みつけんの大変だぞ、これ
 この人混みの中だし」

「そこをなんとか!」



「先生ーっ
 クラス一丸となって
 話し合おうとしてるのに
 悠太くんがまじめに参加してくれませーん」

「悠太くん
 女子の体育が気になるのもわかるけど
 やるときはやる
 今は真剣にとりくまなきゃ」

「お前もな。」

「…先生


 物が射的の景品台にのっかってます」 

「「何ぃぃ!!?」」


『あかん、頼みに行くしかないね』

「えっえっなんで!?」

「おいちびっ子
 ほんとにあれで合ってんのか?」

要の質問に答えはせずに、屋台へと向かっていく茉咲。
茉咲がキーホルダーは自分のものだと言うが相手はとぼけるだけだ

「だからですね
 落としたのはこいつで…」

「証拠は?」

「はい?」


いきなり証拠は?なんて言い出すオヤジに陽奈は眉をひそめて目を細くした。
怒っている。それを横目でみていた祐希は、こわいこわいと小さくため息をした

「証拠がねんならやれねーなぁ
 そんなにほしけりゃホレ

 撃ち落としゃいいだろ
 一回300円な」

「オレ絶対こんな大人にならない」
「つかぜってーこんな人間にはならねえ」
「拾ったもの景品にする時点でアウトだね」

『おっさん』

「おっ、やるか嬢ちゃん」




スパァンッッ


「ぎゃああああっっ」

「ギィヤアアア!!陽奈ちゃんんんっ
 一時のテンションで
 過ちを犯すなァァァ!!

 落ち着いてっ」

『離せ千鶴っ
 こんなクソ生かしちゃならんわ!

 拾ったもの景品にしてんじゃねーぞ!
 弾、めん玉にえぐり込むぞテメェ!』

「怖ッッ!」

「お前キャラ変わってんぞー」

「…祐希」

「あーい


 陽奈」

『!』


─ゴッ

「ちょ、ゆっきー!?」

『…いひゃい』

「落ち着きなさい」

『…はい』

「よし」


「…びっくりした」
「ねー」
「(コクコクコクコク)」

「ま、やってみるか」


要が三百円を出して、銃を構える。
後ろからのよく分からない応援を聞き流し、スパンと撃ったが

『…どこ狙ってんの』

下手くそだった

「ぎゃはははっっ
 ちょっと!狙う気あんの!?」

「こらこら
 全力でがんばった人を笑っちゃだめだよ
 要は全力でやって
 この結果なんだから」

『次はだれやろっか』

「じゃあ…」



「ゆうたーん!ファイトー!」

次は悠太がやることに。
後ろでは要が落ち込んでいるようだったから、手をぽんっと肩に置いたらめっちゃにらまれた。
ひどい!!

──パンッ

「ああ おしい!」

『悠太もだめかぁ』

「これはけっこう…
 的が小さい分難しいかもね」

「そう!
 難しいんだよ!」

「なにハリキってんの?」
『千鶴さんや、ふれてやるな』


「こーいう分野はやっぱり…
 その手で数々の任務を突破してきた
 彼の出番でしょう」

「きゃーっゆっきーー!!」

悠太から祐希へと射的が回される。
昔から祐希は上手だもんね、こういうの。たぶん祐希みたいのを天才と呼ぶのだろう

「目標けっこう小さいけどどう?」

「敵の大きさは問題じゃないよ
 殺られる前に殺る

 それだけの話さ」

「そんな黒い話じゃねえよ」

『まーまー
 祐希、頑張れっ』


「…さて、可愛らしい声援も
 うけたしやりますか」

「やってやれ!ゆっきー!」


パァンッ  パァンッ

「「おおー!!」」

見事、祐希の当てた物はころころ落ちていった
すごい!!けど狙ってる物が違う

「「何狙ってんだゴラァー!!!」」

「あっ
 しかもゆっきー2発うったでしょ!
 もう弾ないじゃん!」

「幸せは一つにしぼれませんでした…」

『後でぽよぽよやろー』

「うんやろー」

「もー祐希はー」

5発ぜんぶ撃ってしまったため、もう弾が無くなってしまった。最後祐希が2発も撃っちゃったし…
どうしようかと作戦会議

「あーもーアホくせえ
 春が帰ってくんの待って説得して
 もらえばいんじゃねえの?」

『相変わらず冷たいな要はー』

「じゃあどーすんだよ」

『え、んー…』

「ちょっと要
 うちの嫁さん責めないでよね」

「誰の嫁だ誰の」

『コラコラ喧嘩しなさんな』

ちらりと茉咲を見れば余裕の無さそうな顔をしていた。これはどうしたものか…。好きな人から貰ったものだもんな、相手に無くしたなんて言えるはずがない

視線を移せば千鶴が射的屋に向かっていた。お、やるのか

「千鶴得意なの?」

「んー…まあ5発あるし
 1発ぐらいは…」

パンッ

「む、むーーん…」

「あんま人のこと言えねぇな」

「おだまり
 よし、次こそ!」

それから何回かやるものの弾は惜しくも当たらずにいた
おじさんは上機嫌だ

「どしたいにーちゃん!
 あと一発だぞ!?」

「わかってますがな!!」

「代わろうか?」
「お前はいい」



『茉咲、』

「!」

『そんな心配そうな顔しないで
 茉咲が信じてなきゃだめだよ』

「!
 う、…うん」


茉咲は、たたたっと千鶴の隣にいき「むーっ」と祈っている
あとは…

『千鶴、
 やってやんな』

「…!
 まかせといてひなたん」

微笑みながら言えば微笑み返された。
いい顔してんね、千鶴

パァンッ

(ころ…)


「あ…」

「うおぁ───!!
 当たった──!!」

『すごーい!』

「残念だったな君たち!!
 本日のヒーローはどうやら
 このボクのようだ!!」

「いいよべつに
 この平和な世に勇者の居場所
 なんてないし」
「ね」

『ほらほら君たち
 春たち帰ってきたよー』

「おっおかえり春ちゃんっ」


「かっわいくね」そう聞こえた千鶴の声に振り向けば少し頬が赤くなっているように見える千鶴
私はそれに少し苦笑いした


(素直じゃないなぁ…)




──────
────


場所変わって河川敷に来た私たち
春たちが買ってきた花火で遊ぶことになった

「オレに近寄るとヤケドするぜ!?」

「ってお前が近寄ってんだろが!!!」

『ふははは!
 千鶴ぅ後ろに注意しなよ』

「ぎゃー!ひなたんが追ってくるー!」


「二人とも危ないですよっっ
 ヤケドでもしたら…」

「いやいや、春さん」
「花火持ったら真剣勝負ですよ」

「違うでしょー!!?」

『うわっ!
 2人ともー!双子がきたーっ』

「ちょっと、何でオレ狙うのー!?」

「うわっ
 あぶねーよ祐希!」






×
- ナノ -