君と僕らの話 | ナノ





『泣かないでよ、みんな』


「ぅっ…く、陽奈ちゃぁぁ…ん」


『大丈夫!

 要も、春も、祐希も、悠太も
 きっとまた会えるよ、

 また5人で笑える日がくるから
 あたしを…忘れないでね!』



彼女は僕らの太陽だ



彼女がきた




ざわざわと騒がしい朝。
いつも先生が来る前は騒がしいが、今日はいつも異常に騒がしかった

眠い、なんて思っていると
背中にいきなりの衝撃。
うぇ。と、カエルが潰れたような悲痛な声を出した
眉をひそめ振り返ると、そこには悪気ゼロな満面の笑顔をした千鶴がいる

「おっはー!ゆっきー!」

「…なに。」


低い声でそう言えばいまだヘラヘラと笑っている千鶴。別に苛立ちさないが、複雑な気分
千鶴はニヤニヤとしながら口を開いた


「今日はなぁ!
 転校生がくるんだってよ!」

「…ふーん」

「ゆっきー興味なさすぎだから!
 聞いた話によると、美少女らしいぞ!

 これは千鶴様の出番だな…!」 

「馬鹿かお前は」


キリッと決める千鶴に冷たく言い放ったのは祐希ではなく眼鏡が特徴的な彼、要だった。
バシッと叩かれた千鶴は口をとがらせ文句を言う
次には少し高めの声の主が現れた

「みんなその話で持ちきりですねぇ」

「千鶴のときはそーでもなかったのにね」

「ゆーたん酷いッ!!
 とかいって〜実はおれも
 イケメン転校生がくるらしいわよ!
 キャー!
 …ってな感じで
 盛り上がってたんでしょ!?」

「まぁそうだとしても
 当の本人そうでもないけどね」

「……………………」

「ちょ…祐希くん…」


しくしくと泣き真似をする千鶴をなぐさめる春。そのとき、チャイムが鳴った
先生が入ってきて生徒は転校生について騒がしくなる


「はいはい!
 皆もう知ってるみたいねぇ

 じゃ、入ってきていいわよー」


静まる教室にガラリと音を立てて入ってきたのはスラリとした身体に小柄な背。サラサラとゆれる茶色く長い髪が清潔感も感じられる
瞳は大きめ。まさに美少女というものだった


『神崎陽奈。

 大事な友人達に会うために
 入学しまひ…あ、噛んだ
 入学しました!

 よろしくー…ねっ!』


えらい子来たぞという雰囲気の中、千鶴は爆笑。
欠伸をする祐希が彼女を見た瞬間、眠そうな顔から一変して目を見開いた。
それは要も同様のようだ


「陽奈…?」


小さく呟いた要の言葉に陽奈はニコリと笑った


『久しぶりだね!
 要
 と
 祐希!』


(…うそ)
(…まじ、か)
(え?え?君たちなに!?)


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