たまに年相応な表情を見せる辺り、和也はホントにズルいヤツだと思う。

そもそも今日だって。

いきなり家に押し掛けてきて一体何事かと思えば「カイジのご飯が食べたくなって」とか言い出す。

そんな大層なモノ出せやしないのに。
そう突き放しても「いーのいーの!」って譲らないし。

仕方なしに野菜と肉を炒めたのを出してみた。

したらすごく美味しそうに食べてくれた。

「カイジいい嫁さんになるよ!」とか、ホントにもう…………

バカじゃねーのっ。

オレの性別は男なんだ。
間違っても嫁にはならないだろうが。

それにこんなダメニートが家庭に入っちゃマズイ気がする。

そもそも料理が好きな訳じゃない。
生きるために最低限の調理をしているだけだ。

って、

言いたいことはたくさんあったのだけれど。

「美味しかったー。また作ってよ」などと屈託のない笑顔で迫られてしまっては、

邪険に扱うなんてとてもじゃないけど無理な話であって。


「……肉じゃがくらいなら」

つい口が滑って明日の約束までしてしまった。

「ホント?絶対だかんね」

指切りげんまんをした上に何故か誓約書まで書かされ、これで明日は逃げられないな……と改めて実感する。

とりあえず、

「うわ、楽しみー!」
「あんま味に期待すんじゃねーぞ…」

明日のために作り方の予習でもしとくか。
やっぱ作ったモノを褒められるのは嬉しいし。


「カイジ」
「ん」

─────!?
髪の毛を掴まれたかと思うと強い力で引き寄せられた。

「ちょ……っ!」

抵抗する間もなく重ねられた和也のくちびるは、

タレのせいだけじゃなくて……

なんだか甘辛いような気がした。


「デザートいただき」

やっとくちびるを離したかと思うと耳元で低く囁いてきた和也に、

どうやらオレは食べられてしまう運命のようです……。






SEXはディナーのあとで。

Aug. 4,2012




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