腹をこわした。
しかも超くだらない理由で。
笑えるでしょ。
牛乳の飲み過ぎ―――――とか。
だって黒服が、
「背を伸ばすにはやはり牛乳かと…!」とか言うから。
まぁ?
たくさん飲めば飲むほど背も伸びる!なんて勝手に思い込んだのはオレですけど?
それにしても痛い。
くそぉ。
いくら金を積んでも、この痛みは誰にも代わってもらえない。
耐えろ…!オレェェ……!
「坊ちゃん。お客様がお見えです」
「あ?そんなん追い返せ……」
「それが…カイジ様なんですが」
え?
カイジが来たの?
だってオレ、さっきメールしたのに。
「今日のデートはキャンセル」って。
……腹痛が理由とは言ってないけど。
「和也っ…!」
カイジがついに黒服を振り切ってオレの部屋に飛び込んできた。
なんか妙に慌てた様子なのが不謹慎だけどちょっぴり笑える。
だってそうでしょ?
走ってきたのか髪が乱れてるし。
どんだけあわあわしてんだ。
「カイジ……どしたよ?」
「お前…和也…」
カイジが手を伸ばしてきてオレの顔をぺたぺたと触る。
いったい何事!?と動けないでいると、
―――――次の瞬間。
何故か抱きしめられてたりして…。
「カイジ……?」
「お前があんなメール寄こすから…!ほんのちょっと心配になって…」
あんなメール?
……言われてハッと思い出す。
今日のデートをキャンセルってやつ?
「あれがどうかしたの?」
訊いてみれば、
なんでもメールがあまりにそっけなさすぎたのだとか。
確かに、いつも使う絵文字もなし。
デートをキャンセルする理由も添えなかったけれど。
そんな心配するもんかねぇ?
や、嬉しいですけど。
カイジに心配してもらえるの、かなりグッときますけど。
「ついにお前が刺されて大怪我したのかもとか…思って…」
ははぁ。
なるへそ。
「心配性だなぁ。カイジは」
コツンとおでこをぶつけると、
カイジは「そんなんじゃねぇ…!」と可愛く睨みつけてきた。
あれあれ?
照れてます?
からかうとプイッとそっぽを向いてしまった恋人に、
仕方ないから正直に白状する。
「ただの腹痛だよ」
安心した?とウインクすると、
「べつにっ…!」
――――完全に目を逸らされた。
「カイジー。こっち向いてよ」
「や だ」
「キスしちゃうぞ」
そんなバカップルっぽい会話を繰り広げつつ、オレはやっと気づいたのでした。
牛乳をがぶ飲みしてまで背を伸ばそうとしなくてもいいじゃんって。
こうして寝転がったままキスすれば、身長差なんて気になんないし。
……とは言え。
やはりカイジに身長で負けてるってのは、
かなり悔しいので。
近いうちに絶対追い越してやろうと、思う。
んでカイジのことを見下ろしてキスしてやる。
その日が来るまでは、
プライドを抑えて。
「心配して損したっ…」
「ねぇ、今日泊まってけば?」
「……っ」
オレなりにめいっぱい愛してやるよ。
*****おまけ*****
「もうっ……ば和也っ…!」
「じゃーアンタはバカイジね」
「っ……くそ……腹痛なんじゃねーのかよっ…」
―――――そんなもん。
破廉恥な体位に恥ずかしくて震えてるカイジが可愛いので吹っ飛んだけど?
ま。どんな胃薬よりも、
カイジのアレを飲んだ方がよく効くぜ!ってことで…。
おわります
お題:休憩様
Oct. 4, 2012
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