おろしたてのブランケットにくるまって眠るしげるは、

さながら子猫のようで。

思わず髪を撫でてしまうくらい愛らしい。
普段はすごく大人びているから余計にそう思えるのだろう。

少し耳を澄ませばスゥスゥと小さな寝息が聞こえてくる。


徹マンも結構なことだけれど。

こうやって疲れは確実に溜まっているのだから、少しは控えた方がいい気もする。
保護者兼恋人であるオレとしてはしげるの体調管理にも気を配っておきたいのだ。

よし。少し注意しとくべきかな。

しげるのことを考えつつ、

そういえばオレもあまり寝てね―な…なんて大あくびを漏らす。

こりゃ人のこと言えねーわ……と苦笑するも、襲いかかる眠気には抵抗できなくて。

そのままズルズルと瞼が下がっていくのを、

他でもない自分でぼんやり感じていた。






◇◆◇◆◇



「っん……はぁ…っん」

やけに色っぽい自分の声で目が覚めた。


「おはよ、カイジさん」
「はぁっ……しげぅ…?」

口の中をまさぐっていた熱いものがゆっくりと離れていった。
それがしげるの舌だったのだと気づいたのは、

幸か不幸か…
数秒後なのだった。


「なんか…カイジさんの寝顔を見てたら…」
「え、ちょっと…」
「ここんとこが熱くなって…」
「はっ……ぅ…」
「だから慰めて…?」

するりと静かに、しげるがシャツを脱いだ。

オレは組み伏せられたまま、それを傍観してるだけで。
さっきからいじられっぱなしの胸の突起をかばう暇もなく…

寝起きの頭でひたすら「どうしよう」とばかり考えていたのだった。



「ね…カイジさんの手でさわってみて…」

こちらを見下ろすしげるの目が、潤んでいる。
つられるようにオレも欲情してきた。

しげるの手がオレの手を強く掴んでいいところへ誘導する。


「カイジさん……」

悩ましい吐息を耳朶に吹きかけられて、

混乱しつつ確実に興奮していくのが自分でもよく分かった。


「カイジさんのも…勃ってきてる…」

ぬるりと撫でられ、思わず情けない声が漏れた。

「あぁっ…しげるっ……」
「気持ちいいでしょ…?」

しげるの顔がグッと近づいて鼻先がくっつきそうになる。
いや、少し掠ったかもしれない。

寝起きの心臓には色々とハードすぎた。


「カイジさんも知ってるでしょ…オレ…大人の身体になってきてる…」
「ん……っ…舐めるなぁっ…」
「身長が伸びて…体重も増えて……」

ここも大きくなってんの…
だからカイジさんもきっと満足してくれる…


しげるの歯が耳朶を甘く噛む。

もうダメだ。
しげるの声しか、聞こえない。





ぴったりと合わさった素肌は少し冷えていて、しげるの体温の低さがダイレクトに伝わってくる。

でも、

脚を割って忍び込んでくる指先は仄かにあったかくて。

あぁしげるのヤツ。
息を吹きかけてあっためてからイれてくれたんだな…って分かって、気持ちまでほわほわしてくるから困る。


「なにニヤけてるの…?」
「あ、いや…」

やだオレ。
ニヤケてたんだ。

そう気づかされたので慌てて口元を引き締めようとするも。

「ちょっと寒いな…。カイジさんの体温くれる?」なんて抱きついてくるしげるの催促が可愛くて、自然と口角が上がる。

もっともそんな余裕は、

速攻でしげるにもってかれてしまうのだけど。


「しげぅっ…そこはぁッ…」
「一番感じるとこでしょ…」
「うっ…恥ずいからヤメッ…」
「そんな可愛い声で啼いてもダ・メ」


まったく。
しげるのこと子猫のようだとか言ったの誰だ。
……オレだ。


飼ってるつもりが実は飼われてた…なんて話はよくあることで。
――――かくして子猫(13歳)にいいように躾けられてしまうオレ(21歳)なのでした…。






お題:休憩様


Nov. 10, 2012


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