あくびしながら立ち上がったカイジさんの腕をグイと強く掴んだ。
「あの…オレ、バイト行かなきゃなんだけど」
「行ってらっしゃい」
「そう思うなら手、離してくれよぉ…」
くちびるを尖らせて抵抗するカイジさんが可愛くてしょうがない。
これではますます離したくなくなる。
────と、その刹那。
ふいにカイジさんの顔が近づいてきて、
一瞬だけくちびるに熱が重なった。
それがカイジさんからのいっぱいいっぱいのキスだったと理解できたのは、
「………行ってくるっ」
バタバタと足音が遠ざかってカイジさんが外へ出ていった、ずっと後のことで。
「参ったな…」
ほんのちょっと舌先がふれたことにドキドキしたってのは、
………悔しいから絶対に内緒。
決めた。
今夜どんなに疲れて帰ってきたとしても絶対、
絶対絶対絶対に…
寝かせてなんかあげない。
Sep. 21,2012
>>
top
>>
main