西緒さんから(フリー)


「バクラーぁ。暖房器具が壊れちゃった。寒いからそっちの部屋行って
もいい?」

ついに壊れたのかよ、あのストーブ。
毛布を頭からかぶった状態で顔を出した獏良に、そんなに寒いか?と思
いつつも、バクラは頷いて了承した。
了承してから気づく。

(この部屋に暖房器具なんてあったか?)

バクラは部屋の中を見回す。
何もない部屋だ。
勉強机とベッド。デュエル関連の本が詰まった本棚があるくらいで、部
屋を飾るようなものが一つもない。
まあこの部屋には寝に帰るくらいなんだから、仕方ないだろう。
普段のバクラは、家にいるときはほとんどリビングでくつろいでいる。

「げ」

部屋の隅に、使われずに埃のかぶったヒーターを見つけて、バクラは顔
をしかめた。
同じく顔をしかめた獏良が、「きたなーい!」と言ってヒーターをばし
んばしんと叩く。
埃を払ってるんだか、うさをはらしてるんだかわからない。
だが、このままいけば、コイツも獏良の部屋のストーブの二の舞になる
だろう。
そう思ったバクラは、ヒーターを叩く獏良の手を止めて、ヒーターの電
源スイッチを入れた。




「うー、寒いよー」

毛布をかぶった獏良が、恨めしそうな目でバクラを睨みつけてくる。

「そこまで寒くねぇだろ…」
「そこまで寒いよ!僕、寝るとき電気毛布かぶって寝るんだからね!」
「電気毛布!?」

バクラは、驚きのあまり目を見開いた。
確かに、朝と夜は日中よりも冷え込むが。
今からこんなで、もっと寒くなってきたらどうするつもりなんだ。
バクラは、毛布を握る獏良の手をそっとつかむ。

「つめてっ!テメェ何だその手の冷たさは!」
「バクラあったかいねぇ!」

さっと引っ込めようとしたバクラの手を、今度は獏良ががしっとつかむ。

「手が冷たい人は、心があったかいんだって!」
「じゃあ手の冷たいオレ様は、心が冷たいって言いてぇのか?」
「きっとバクラは、手も心もあったかいんだよ!」

またそんな心にも思ってないことを。
にこにこと笑う獏良に、バクラははぁ…と溜息をつく。
そのままぴったりとくっついてきたので、つながれた手をぎゅっと握ってやった。

「バクラ、顔赤いね」
「うるせぇ、熱いんだよ」


【あー熱い熱い!】

―――――――――

管理人憧れの西緒さまがだいぶ前にフリーしていた小説です(今更ごめんなさい!)

寒い時期にこういうの読んだらなんだかぬくぬくしたきもちになりますね!ばくばく可愛いばくばく!
一生いちゃいちゃしてればいいよ(^ω^)!
西緒さま、素敵な小説をフリーにしてくださってありがとうございましたー!


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