おやすみ(Klaus ver.)
すうすう、と隣で静かな寝息を立てている、赤髪の大きな人。
むき出しの肌は筋肉隆々で美しい。間違いなく世界を救うために鍛えられた体。
神々の義眼は至高の芸術品と謳われるが、この人の身体だってそう呼ばれてもいいくらいだ。
「んん……」
あう。重い、重いです、クラウスさん。
寝返り打ってこちらを向いたと思ったら、そのムキムキの腕が被さってきた。筋肉ってのは重いんだぞ。
けれど、私に乗っかっただけのクラウスさんの手がおもむろに、きゅ、と肩を掴む。
彼は完全に寝入っているし、無意識に体温を求めたのかもしれない。
血を操り、封殺の術を持つ手。それは今、私を包んでいて、それを私しか見ていない。私だけのもの。
「んふふ」
我ながら気持ちの悪い笑みが、抑えきれずに漏れ出してしまった。その怪しい鼻息が胸にかかったせいか、自衛本能がそうさせたか。
「――う、」
鉄壁の前髪から、とろんとした緑色が覗く。
「、、……」
私の名前を呼んだようだけど、寝起きだからか、かすれた息が私の額にぶつかっただけだった。
「ん?」
それに微笑みながら首を傾げてみると、クラウスさんはそれで満足したらしく、同じように目を細めた。
「……」
と、思ったらそのまま目を閉じて眠りの中へ。
寝ぼけてたんだろうな、可愛い人だ。
再びにやにやして、私はその逞しい胸にすり寄って。
「おやすみなさい、大好きなひと」
そう呟いたら、同じ夢の中へ――
Fin.
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