スマートフォン解析 幸佐 短編 | ナノ
Q.
Q.異常に寒い夜、貴方はどうしますか?

「寒いね、旦那」
「そうでござるか?」
「寒いよ……旦那や大将は寒くないかもしれないけど、俺様は寒いの」
「……そうでござるか?」

外の世界が真っ白な銀世界に染まりきった、真冬のこの季節。漆黒の闇が世界を包み込んでいる筈なのに、外は薄っすら普段よりも明るく見えた。
月の光を雪が反射して、キラキラ輝いて見えるのだ。幼い時は、真っ白な外を見つめなんて綺麗な風景なんだろうと見惚れてしまった事もあった。
だが今となっては、見慣れてしまったのだろう。ただ、寒いだけの光景である。
忍として修行を積んで来た佐助も、元々の体温が低い事もあり雪の積もるこの季節だけはどうも苦手だった。出来る事なら非番の日くらいはゆっくり部屋に篭って布団の中で寝ていたいと思っているのだが、彼の主がそれを許さない。
夕刻の時間だというにも関わらず、佐助を呼び出しては庭に出て修行を手伝わせるのだ。手伝わせるといっても佐助と幸村の体格ではたいした手伝いは出来ない。
だから最近では、ただ幸村の修行を黙って見つめるだけしか出来ないのだ。
それが微かに歯がゆくも感じるのだが……。

寒いとごねる忍に、幸村はやはり理解していない様子で首を傾げるだけだった。白い息を吐きながら縁側に縮こまるように腰を掛けている佐助に歩み寄ると、幸村は佐助の目の前に立ち不思議そうに呟いた。

「俺は佐助と一緒にいると、例えどんなに寒い日であろうとも体が熱くなるぞ。特に顔が何だか熱くなる」

子供のような無邪気な笑顔を浮かべる主に、忍は折り曲げた足に顔を埋めてしまった。そんな忍の頭を優しく撫でながら、幸村は更に言葉を続けた。

「ほら、佐助も顔が真っ赤に染まった。やはり熱いのだろう?」

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