スマートフォン解析 幸佐 短編 | ナノ
「……いや、だからそうじゃなくて」
「てめぇら、さっきから黙って聞いてればどいつもこいつも政宗様を責めやがって!!」

いい加減堪忍袋の緒が切れたのか、今まで黙っていた竜の右目こと片倉小十郎は政宗を突き刺すような視線から守るように前に乗り出し怒鳴り散った。

そのせいもあって政宗の言葉は遮られてしまったのだが、それに気がつく者は居なかった。


「政宗様は自分の数少ない友達が恋人なんぞ作って、自分から離れてしまうのが切ないんだよ!それくらい察しろ、馬鹿野郎どもが!!」
「「「なるほど!!」」」
「小十郎違う!!お前らも何で納得してやがる!!!」

政宗の悲痛な叫びが木霊する中、当事者である幸村も自身の口元に手を沿え半ばわざとっぽく驚いたように目を見開き政宗に駆け寄った。

「も、申し訳ございませぬ!政宗殿のそんな思いに気付かぬ愚かな某をどうぞ叱って下され!しかし、某たちは何時の間に友になったのですか?」
「知るか!っていうかそうじゃねぇよ!!お前達がConfessionしている場所は小十郎の畑だろうが!!」

政宗の訴えに一同の動きが止まる。沈黙を再び遮るように政宗は言葉を続けた。

「俺達が小十郎の畑の収穫の手伝いしている最中にお前達が行き成りやってきて、勝手にConfessionとか始めたんだろうが!」

「そうでござるが……それがどうされたのですか?」
「だ〜か〜ら〜!Confessionするのはお前らの勝手だが、此処は小十郎の畑だ!!やるなら他所でやれ!!」

政宗は肩を上下に動かしながら荒い息つぎで声を張り上げた。

鋭い視線の先には、何かを考えているような神妙な面持ちの幸村の姿があった。
幸村は何かが閃いたのか、目を輝かせ政宗の両肩を鷲掴みした。

そして瞳を輝かせ、政宗に話しかけた。

「政宗殿はそこまで片倉殿の畑を大切にされておるのですな!いやはや恋人の事をそこまで考えるとは!某、感服いたしました!!」
「……は?」

幸村の言葉の意味が理解できず、政宗は再び硬直した。

それをいいことに幸村は──掴んだ両肩を思いっきり交互に動かしながら──自身の考えに暴走しながら話を続けた。

「政宗殿の仰られる通りでござる!此処は政宗殿にとって大切な片倉殿の畑。いわば愛の巣。そんな場所に土足であがりこまれては、恋人として腹たたしい事この上無い!!」

「……政宗様……小十郎(の畑)の事をそこまで考えて下さっていたとは……」

ふと横に視線を向ければ、其処には肩を震わせ涙を流す片倉小十郎の姿があった。
どうやら何か勘違いしているらしい。

ふと辺り一面から嗚咽などが聞こえてきて政宗は軽い眩暈を感じつつも周囲を見回せば、2人を囲むように佇む部下達が涙を流し感動していた。

何とも暑苦しい……いや、微笑ましい光景であろう。

「筆頭!俺達、勘違いしてました!筆頭は小十郎様の事を考えて……っ」
「筆頭!俺感動しました!!」
「すんませんでした!浅はかな俺達を叱ってください!!」

所々から聞こえてくる嗚咽と言葉に、政宗は口の端を引き攣らせ怒鳴り散った。

「違うっつってるのが判らねぇのか!!!」
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