スマートフォン解析 幸佐 短編 | ナノ
そんなふたり
お腹がすいた。
でも昼餉には、若干だがまだ早い時刻。

おやつにしますか?
それとも俺様にしますか?

にっこり食えない笑みを浮かべる佐助に、幸村は「団子」と即答した。
午前中から稽古の相手をするため城に来ていたお館様は豪快に笑う。

そんな午前中の麗らかな時間。
佐助は忍び装束の上から割烹着を羽織った状態で台所から出てくると、手にしていたお団子山盛りのお盆を縁側に置いた。

「団子でござる!」
「はいはい。旦那にとって俺様よりも大好きな団子ですよ。俺様よりも大好きな団子をたらふく食べてくださいね。でも俺様よりも大好きな団子を食べる前に手を洗ってからですからね」

然り気無く拗ねている様子を言葉に含みチクチク言う佐助に、幸村は特に気する様子もなく井戸へ向かった。
残された二人は、小さくなっていく幸村の後ろ姿を眺めながら各々の表情を浮かべる。

信玄は笑いを噛み殺しながら、ぶすっと拗ねている佐助に声をかけた。

「お前等はわしが居ない時もこんな感じなのか?」
「えぇ、えぇ、そうですよ!旦那の口から出るのは、お館様とお館様と団子ばっかり。俺様の事なんか二の次なんだから」

更に拗ねる佐助に、信玄は不思議そうに首を傾げた。

「おかしいの……。わしと話しているときの幸村は、佐助の話ばかりなんじゃが」
「……へ?」

佐助は間抜けな声を出してしまった事にも気がつかず、あわてて顔を上げ信玄の方を見る。
そこにはニヤニヤと悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべる信玄の姿があった。

「何時も佐助の団子は天下一品です!とか、佐助は某には勿体無い忍びなんです!とか……うぬ、佐助。どうした?全身真っ赤になっておるが大丈夫か?」

ニンマリ笑みを浮かべる信玄の足元で、体を丸め小刻みに震える佐助の姿があった。
顔をふせているため表情は見えないが、耳たぶは真っ赤に染まっていた。
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