スマートフォン解析 政小 短編 | ナノ
宴会
新年早々主の悪い癖が出た──顔を真っ赤にして畳の上にだらしなく横たわる、普段では見ることが出来ないであろう無防備な姿に思わず口元が緩む。

しかしながら。自分が此処で気持ちを引き締めなければ、誰がこのさきこの人の暴走を止められるだろうか。

自分自身にかつを入れるように、小十郎は緩んだ口元をキュッと引き締めた。
雪国奥州の新年会は、毎年の事ながら無礼講は当たり前のどんちゃか騒ぎまで発展する。

酒に弱いくせに酒が好きな若い主は、無礼講だからと云い自分の家臣達に酒を注いで行く。

そんな事は貴方様がやることではありません!

何時も小十郎が窘めても、政宗は「無礼講だ」とニンマリ笑うだけだ。

隙あればKissといいながら、口吸いを強制してくるが、酒に酔っている政宗相手だったら小十郎もあっさり断ることが出来る。

酔いがさめて文句を云ってこようとも
「何のことですか?」としらを切ることが出来るからだ。

最終的に酒飲み大会にまでなり、ある家臣は腹に顔を描き腹踊りを始めだし、またある家臣は酔いつぶれ縁側になで出て廊下で大の字になり眠りにつく。

そんな中、たった一人平常心を纏いながらも酒の席に付き合うのは、毎年小十郎ただ一人となる。


いや、もう一人。冷静沈着な──小十郎の義兄にあたる──綱元も乱れることなく酒を飲んでいる。
彼の場合、酔わないだけらしい。酔わないように堪える小十郎とは、若干立場が異なる。

最終的には、酔いつぶれた政宗を抱え、小十郎がその場を後にして酒飲み大会は閉幕する。残るのは、酒に酔いつぶれた男たちの寝息だけだ。

「今年も皆べろんべろんだな」
「…はい、兄上」

酔いつぶれた強豪達を見つめながら、鬼庭&片倉兄弟は深いため息をついた。
新年早々、奥州は二日酔いによる頭痛持ちでいっぱいになったのは云うまでも無い。
prev bkm next

[ top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -