スマートフォン解析 政小 短編 | ナノ
夢見
最近、夢見が悪い。
不機嫌そうに呟く政宗の目元には、薄っすらクマが出来ていた。

それを聞いていた家臣達は、一斉に成実の方へ視線を向ける。
成実は皆々の視線を一身に受け、苦笑いを浮かべ隣に腰掛ける綱元へ視線を動かした。

「……夢見が悪いなら、枕とか変えたらどうでしょう」
「そう!俺が云いたかったのはそれだ!流石、綱元!」

綱元の提案に成実が手を叩き賛同する。
すると政宗は、眉間の皺を更に深め成実を睨み付けた。

「…枕が原因じゃ無ぇよ」
「では、布団を新しく換えましょう」
「布団でもない」
「では、寝る前に香を焚きましょう」
「臭くなって余計に眠れなくなるだろうが」

淡々と提案をあげる綱元。
淡々と提案を却下する政宗。

両者のやり取りをハラハラとした様子で見守っていた成実だったが、ふと障子の方に視線を向けパッと表情を明るくした。
成実の表情が変わったと同時に、政宗は顔をあげた。

そして口元を尖らせ、不機嫌そうに言葉を吐き捨てる。

「帰ってくるのが遅いんだよ、小十郎」

政宗の言葉と同時に、部屋の障子が開かれる。
そこには深々と頭を下げる小十郎の姿があった。

「遅くなってしまい、大変申し訳ございません。片倉小十郎、ただいま甲斐から帰還いたしました」

政宗が頭をあげろと云っても、小十郎は頭をあげない。
政宗はゆっくり立ち上がると、家臣達の目の前の歩き小十郎の元へ向かう。

「小十郎…」
「は」

短いやりとり。
政宗はゆっくりその場にしゃがみ込むと、手にしていた扇子で小十郎の背中をなぞった。

「最近、夢見が悪いんだ」
「でしたら枕を換えましょう」
「いいや、枕も布団もお前のにおいが染み込んでるから満足だ。でも肝心のお前が居ないんじゃ、意味が無いだろう」

政宗の言葉に、ようやく小十郎は顔をあげた。
其処には、待ち焦がれたように笑みを浮かべる政宗の姿があった。

「小十郎、夢見が悪い」
「でしたら…小十郎はお側に仕えております」

薄っすら気恥ずかしそうに頬を赤め呟く小十郎に、政宗は満足したようにニンマリ笑みを深めるのであった。
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