スマートフォン解析 政小 短編 | ナノ
憂鬱
伊達成実。
伊達政宗の従兄弟である彼には、人知れず深い悩みがあった。

それはというと…

「小十郎、ハグしろハグだ!」
「政宗様、申し訳ありませんが小十郎は西洋の言葉が判りませぬ。日本語でお願いします」
「そうか…sorry 小十郎。じゃ、Kissしろ!!」
「ですから日本語でお願いします」

朝の定例会議。奥州の名立たる武将たちが集まり、今後の戦や国の状態を話し合う場であるにも関わらず。
奥州の覇者・政宗は右目である片倉小十郎と人目の憚らず愛を育んでいた。

「いやいやいや!駄目だろ、常識的に!!」

思わず一人でツッコミをしてしまった成実に、政宗は怪訝な表情を浮かべ成実を見た。
元々鋭い目付きな上、邪魔されたということから機嫌も悪くなっているのだろう。その視線は、人を射抜くのでは無いかと思われるくらい憎悪に満ちている。

それでも、何時もの事だと成実は気にも留めず政宗に小言をぼやいた。

「一国の王が従者と愛を育んでどうすんだよ!世間体を少しは考えろよ、梵」
「It doesn't matter.俺が日の本を統一すれば問題ない!」

そっか!
と一瞬納得しかけた成実だったが、すぐさま我に戻り首を横にふった。

「そういう問題じゃないだろうが!世継ぎはどうすんだよ!」
「小十郎が産めば問題は無いだろう。俺の右目だ、それくらいは可能だろう!」
「不可能だよ!幾ら小十兄でも、不可能なことくらいあるだろう!!!」

政宗と成実が取っ掴み合いの言い争いをしている中、面白そうに眺めていた綱元はふと義弟の方に視線を向けた。
そこには複雑そうな小十郎の姿があった。

「景綱…主はそう云っていらしゃるが、お前はどうなんだ?」
「兄上…小十郎も流石に子は産めますまい」
「ま、確かに…」

小十郎は政宗から視線を話すことなく、隣に腰掛けた綱元にこう呟いた。

「しかし、政宗様ならば不可能を可能にしてくださると思いますゆえ」
「お前も毒されたか…」

照れくさそうに微笑む小十郎に、綱元は可愛い弟の将来がなんだか心配になっていた。
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