スマートフォン解析 政小 短編 | ナノ
Q.
Q.異常に寒い夜、貴方はどうしますか?

鬼の霍乱とは正にこの事をいうのだ―――と政宗は目の前の光景を見つめながら思った。
部屋の中央に敷かれた褥の上で苦しそうに顔を赤め咳き込み寝込む男は、普段はきっちりされた前髪が解れ顔にかかっており潤んだ目も何処か色めかしく感じた。
病気の人間を前にして、不謹慎なのかもしれないが何故かそそられる。
そう考えている政宗の思考を察してか、重い瞼を開き小十郎は政宗を静かに睨み付けた。

「……風邪がうつると大変ですので、見舞いはお断りと伝えた筈です。それにたった一人でお忍びに此処に来るとは……自分の立場をお分かりか?―――政宗様」

どんなに体調が悪くとも補佐役としての仕事を全うさせようと苦言を述べる小十郎に、政宗は内心感心しながらも苦笑いを浮かべた。

「大切な右目が寝込んでるって聞いちゃ、じっとしてられないだろうが」
「しかし……っ」
「それに……お前が傍にいないと、夜も寒くて眠れないんだよ。小十郎」

小言を云おうと開かれた小十郎の唇を噛むように覆い口付けをする政宗。行き成りの行為に驚愕しうまく抵抗が出来ない小十郎に気分を良くした政宗は、小十郎の頭の後ろに自分の手を添え引き寄せ舌を奥まで絡ませていく。

「……く……っ」
「……っ……俺の体温で暖めてやるよ、小十郎」

銀世界広がる寒い雪国の夜。
互いの体温を確かめるように絡み合う二頭の竜は、今夜も交わりながら闇の中に浸透していった。


「だからあれほど言ったのに」
成実は、部屋の中央に敷かれた褥に横たわる主を見下ろしながら小さくため息をこぼした。
その隣には、申し訳なさそうに肩を落とし小さくなっている小十郎の姿があった。

「政宗様……申し訳ございません」
「気にすんな、小十郎……俺が悪いんだから……」
「当たり前だ、このバカ梵」

結局、政宗は小十郎の風邪がうつり寝込む羽目になったのは、本人が言う通り自業自得なのかもしれない。
成実は、手と手を取り合い見つめあう双竜を眺めながら思った。
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