※ひたすらジャンの片思い
※エレミカ要素あり





ふと、ミカサを見た時に俺は余計なことに気付いちまった。いつも大事そうに巻いているマフラーで隠せない程の傷があることに。いつも遠目からミカサを見ているから、直ぐに違和感に気付いた。

「おい、ミカサ。それどうしたんだ?」

ミカサに話し掛けるチャンスが出来た!とか餓鬼くさいことに、そう俺は思っていた。

「これは、大丈夫」
「いや大丈夫って。噛まれたような、」

そこまで言って、俺は気付いた。ミカサの頬が赤く染まり、幸せそうな顔をしていることに。

「私にとって、これは意味のある傷だから」

死に急ぎ野郎の顔が、嫌でも思い付いた。きっと間違いないだろう。なんだこの野郎。キスマークのつもりか知らねぇが、そんなマフラーで隠し切れないところに付けてんじゃねぇよ。とか。決して口に出すことの出来ない訴えを飲み込む。ムカムカしてきた。あの死に急ぎ野郎も、そんなところに噛み付かれた痕を安々と付けられたミカサにも。

「っ……はー…」
「ジャン、どうかした?」
「……お前らのせいだっつーの」
「え?」
「やっぱり、何でもねぇよ」
「そう?」

そう会話を切ると、ミカサは大切な物に触れるみたいに、その傷痕を撫でる。今は俺が側にいるのに、ちっともこっちを見ないミカサに、また心が痛んだ。



恋が通り過ぎていくのを、黙って見つめるだけで
何も出来ない

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