「機嫌」ミストレとエスカバ



「エスカバ」


学園の食堂で軽食をとっていると
後ろから聞きなれた高い声が俺の名前を呼んだ


「ん?どうしたミストレ」
「聞きたいことがあるんだ」


そう言って遠慮無く俺の隣の席に座った


「は?聞きたいこと?」
「そうだよ。悪い?」
「いや…」


どうせいつものように俺の事からかうんだろうな…
…と予想していたのに全く違った
しかも何故か少し機嫌が悪そうだった


「んで何だよ、聞きたいことって」
「バダップの事」


気に食わない。とばかりに足をブラつかせ
怒り混じりの声で言った


「最近バダップの機嫌がすごく良いんだ」


…?機嫌がいいなら別に怒る必要は無いんじゃねーのか?
なんでこんなに怒ってるんだこいつ。
俺は飽きれながらミストレに言う


「なんでバダップが機嫌いいのが気に食わねぇんだよ」
「別にバダップに腹立ってるわけじゃないよ」
「じゃあ何でそんなにイラついてんだ?ミストレ」


俺はそう言うとミストレはますます機嫌を悪くした。


「俺はね、君が気に食わないの。君が!」


机を思いっ切り叩いて俺に怒鳴りつけた
俺が何をしたって言うんだ…まったく


「君がバダップと話してると、バダップがすごい幸せそうなの。ほんっと気に食わない」


そう言って俺の足を力強く踏みつけた


「いっでぇ!!!!何すんだよ!!!」
「君がいけないんだろう!気に食わない気に食わない!!」


八つ当たりもほどほどにしてほしい…めんどくせぇ
とりあえず落ち着いてミストレに聞いた


「ったく…。お前と話してる時も あいつ楽しそうじゃねぇか」
「違うの全っ然。まったく違う。表情も声のトーンも距離も全然違う」
「…お前さ、それバダップに直接言った方が早いんじゃねーか?」


ため息をつきながら俺はミストレに問う
ミストレは「冗談じゃない。嫌だ」と言うばかりだった


「つーかそれを俺に言ってどうするんだよ」
「君さ、バダップと話すのやめてよ」
「は!?」


こいつは何を思ってやめろと言っているんだろうか
俺がもしバダップと話すのをやめて何を望んでるんだろうか


「それはさすがに無理だろ。もしかしてお前さ」
「何だよ。」

「バダップの事好きなわけ?」


…さすがに食堂で言うのは不味かった
と思ったが周りに人がいなくてよかった
少しの沈黙があったあとにミストレが顔を真っ赤にして


「…………は……?な、なんでそうなるんだよ…!!」


と言い俺を殴ってきた


「何で殴るんだよ!!!」
「おっ…俺が、バダップの事、す、好きなわけない、だろ!!!!」


図星かよ…。
そんなわかりやすい反応されると逆に困る


「あー分かった分かった。好きじゃないんだよなぁ、はいはい。」
「…っ、死ねエスバカ!!!!!!!」


そう言って勢いよく俺の顔を殴り
立ちあがってどこか行ってしまった。


「なんなんだあいつは…。こんなの何回もあったら腫れるな…。」



俺はそう呟いて、殴られた所を冷やしに医務室に向かった。





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