treasure-5 | ナノ


 2012年賀メールafter
※冴美様より頂きました


俺は今、高野さんの部屋で今年の終わりを過ごそうとしていた

ぴ…ぴ…ぴーー


「…あけましておめでとう」

「あけまして…おめでとうございます。」


高野さんは俺の返答に満足したのか、嬉しそうに目を細め、微笑んでいた

…別に俺は高野さんと年越しをするつもりは無く、今日は部屋に帰って紅白を観
る予定だった…のだが…
またもや、高野さんは俺を強引に部屋に拉致ったのだった


「………あの、俺もう部屋に帰って寝たいんですが…」

…嘘ではない。疲れているし、何よりここに居たら高野さんに何されるかわかっ
たもんじゃない…。


「じゃあ俺の部屋で寝れば?明日起こしてやるし。」

さも当然のごとく言い放つ目の前の男に、何度目か分からない怒りを感じた…

「嫌ですよ!何で自分の部屋隣なのに、高野さんの部屋に泊まらないといけない
んですか!」

「……………」

「な…何ですか?」

「……………」

急に無言になった高野さんに違和感を感じ顔、をゆっくりと見上げると…


-10年前のように…寂しい色-


「た…高野さん?大丈夫ですか?」

嵯峨先輩と同じ寂しい瞳をした高野さんを見たら…すごく不安になって…俺は思
わず向き合う形で彼の服を掴んでいた

「……小野寺」

「…はい?」

「…昔、俺ん家荒れてたから…誰かと年越しするとか無かったし、一年一年過ぎ
ていくとか…俺自身、どうでもいいって思ってたんだ…」

「…………」

「…そんなこと…振り返っても仕方ねぇのに…」

自嘲気味に笑った高野さんに、俺は…俺は…

「こっ…!今年は!!俺がいるじゃないですか!!」

いきなり声を張り上げたので高野さんは目を見開き、呆然としていた。…でも俺
は言わなくてはいけない…もう、この人は独りじゃないことを…。

「エメ編の皆さんや…横澤さんやソラ太だっているじゃないですか!だから…だ
から今も独りみたいなこと……言わないで下さい…!!」

「……小野寺…」

高野さんは俺の腕を引き、ぎゅうっと抱きついてきた
…まるで母親の温もりを求める子供のように…
俺は身動きが取れず、高野さんの背中を撫でていた…

「……小野寺…」

「…何ですか?」

「………泊まってかねぇの?」

最初とは変わって、甘えたように¨お前と一緒に居たい¨と告げる高野さんに俺
はどうにも弱いらしい。

「………仕方ないから…泊まってあげますよ」


-だから…もう悲しまないで-



――――――
―――――――――

ベッドの中、俺の腕の中ですやすやと眠る小野寺を見つめ、あの頃とは違い、寂
しさや悲しみがこの一年無かったことを思い返していた

「……お前が…傍にいてくれたから…俺は毎日が幸せに感じていたんだな…」

「…これからも…俺の傍に居てくれ…律…」


眠る小野寺の額に口付けを落とし、俺は眠りについた


――――――
――――――――


むくり。

ようやく高野さんが眠った
実は起きていたのだが、起きるに起きれない雰囲気だったので寝ていたフリをし
ていた


「………傍にいてあげますよ……仕方ないから…」


まだ…想いを告げることは出来そうに無いけれど…来年も再来年も…傍にいるか
ら…


「…今年も…よろしくお願いします…高野さん。」




〜END〜
120103 更新

【はるあの後書き】

年賀メール企画にご参加いただいた冴美様から
とっても素敵なお礼話を頂いちゃいました!!

なんだこの萌えな高律話はぁ!!!!

孤独な高野さん(*´Д`)!
甘やかす律っちゃん!!!

新年から爆死できました!!
冴美様、本当にありがとうございました!!



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