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14.流れるものは


 女の子が大学に通うなんて、と4年間言われ続けながらも、セオは立派な女性に成長した。大学に進まなかった周りの子たちが次々と結婚していく中、セオがもっぱら興味を持ったのはイギリスの歴史であった。そんな彼女を周囲は珍しい物を見るような目で見たが、セオもヴァントーズも気にしていない。ヴァントーズは自分が研究する歴史という分野に、娘が興味を持ってくれたのが嬉しかった。それにセオは美しく育った、その気になればいつだって結婚相手は見つかるだろう。現に申し込みはよくやってくる。
 セオは毎日、大学に行けば大抵本を読み、論文に手を付け、講義の時間になれば教室に赴く生活を繰り返していた。色めいたことはほとんどないが、同じ学科の人や知らない人に告白されることは時々ある、しかし全てごめんなさいと一蹴している。本当に興味がないのだ。

 今日も講義だ、大教室に向かう。教室には少しだけ人がいて、みんな思い思いの事をしていた。セオは目的の人を探す、つやつやした金髪は見つけやすい。

「ディオくん。」
「おはよう、セオ。」

 目的の人はディオ。『法の歴史』の講義は、歴史を研究するセオにも、法を研究する彼にも必要なものだった。学部の違う2人だが、4年目にして同じ講義を取ることになったときには吃驚したものだった。
 相変わらずセオとディオ、そしてジョナサンは仲の良い友達同士で、3人が同じ大学に合格した時はとても喜んだものだ。7年前、一時あったディオとジョナサンの確執も今では見られない。それどころか、一緒にラグビー部で活躍をするまでの仲になっている。セオにはそれが一番良かった。






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