稲妻11 | ナノ


◆冒涜の森-カイ白R18
 シュウ白前提NTR/根底にカイ→シュウ



 鮮烈な森の景観にそぐわぬ荒い吐息が忙しなく聞こえている。青々と生い茂る菩提樹の木陰で、その行為は白昼堂々と行われていた。晴れ渡る青空の下、噎せ返るような夏の匂いがする。
「……っ、ふ…ッ……ンっ……」
 四つん這いにさせられた白竜は下草を掻き毟り、無遠慮に与えられる律動に、唇を噛み締めて耐えていた。青臭い草の汁が白い指を汚し、爪の間に湿った泥が入り込む。凛々しい眉根を寄せた白皙には、汗の粒が浮かんでいた。それは暑さ故の発汗ではなく、脂汗に近いものである。
「……くぅッ、あ…っ…んん……ッ!」
 歯を食い縛って呻く白竜の後孔には、いきり立つ肉棒が楔の如く突き刺さっていた。男の欲望によって押し広げられた場所は、性急で強引な挿入のために傷付いて、白い内股に赤い筋を幾つか伝わせている。白竜は生娘でも処女でもないが、その状態は破瓜の際の出血を思わせて痛々しい。
 血が出るほど肉が裂けているのだから、挿入と併せて相応の痛みがあるはずだが、白竜は泣きもしなければ喚きもしない。ただじっと身を強張らせて深く顔を俯かせ、この屈辱的な行為が終わるのを待っている。仕打ちに抵抗しない様は大人しいというよりも、何かを諦めて甘んじているかのようだった。
 かつてはこの島――ゴッドエデンに集められた全シードの頂点に君臨していた男の変わり果てた姿を見下ろして、白竜を犯している張本人であるカイは、意地の悪い笑みを軽薄な口許に湛えた。望まぬ形で組み敷かれていても、白竜の精神は頑なである。容易く屈されてはつまらないが、あまりに高潔すぎるのも考えものだと思う。自分勝手で残酷な考えだと自覚はあるが、暴力まがいの強姦によって白竜の弱みが曝け出されるのを期待していたカイとしては、少し拍子抜けする反応だった。
「あんたも強情だなぁ……喘ぎ声の一つも出してみろよ」
「……誰がッ、そんなみっともないことを……っ!」
「もうとっくにみっともないだろ?」
 気丈な答えを嘲笑ったカイは、半ば埋め込んでいた自身の肉棒を、一気に白竜の中へと押し込んだ。強すぎる衝撃を受け止めさせられた白竜は、息を引き攣らせて両目を見開いた。
「――ッ……!」
 ぶちぶちと入り口を裂きながら、カイの雄は根本まで全て収まった。白竜は呼吸を苦しげに詰まらせながら、下肢を襲う激痛と異物感に身を戦慄かせている。ここまでしても叫ばないのはプライドがあるからだろう。しかし態度を如何に取り繕うとも、白竜がカイに強姦されていることは、最早揺るがしようのない事実になっていた。組み敷いた身体を突き上げながら、カイは白竜を冷たく蔑んだ。
「究極の光と持て囃されたあんたが、犬みたいな情けない格好で、野外で男に尻を掘られてるんだ。これ以上に無様なことが他にあるかよ」
「……っう、あ……ッ、く…ッう……!」
「今更どう振る舞っても、あんたは傷ものでしかないんだよっ」
 元々ろくに慣らされていないそこは、痛い程の力でカイの男根を締め付ける。白竜の穴は只管きついだけで、抜き差しをしても交接の蕩けるような快楽は、あまり得られない。しかしあの端整な顔が苦痛と屈辱に歪む様を想像すると、具合の良し悪しに関わらず、カイは酷く興奮するのだった。
「……く、はぁ…っ!……ンっ…う……ッ!」
 そんな倒錯を抱えているために、カイは白竜の身体を気遣うことなく、乱暴な挿送を繰り返す。奇しくも傷口から溢れた血液によって、滑りが良くなり動き易くなった。繋がる肉棒と後孔とを共に赤に濡らして、痛々しいばかりの交わりは続けられる。人形のように揺さ振られる白竜は、カイの方を振り向いて荒っぽく唸った。
「……ッ、はやく、おわらせ、ろ……っ!」
 尖った犬歯を剥き出しにして、白竜はカイを鋭く睨み付ける。犯されながらも、白竜の心はまだ折れていない。その真紅の眼差しが気に食わなかった。
「……本当に、可愛くないなぁ……」
 苛ついたカイは舌打ちをすると、白竜の顎を掴んで顔を上げさせた。上向きにされた視線の先には菩提樹があり、苔生した古い石像が根元に無造作に置かれている。碑銘は刻まれていなくとも、それは或る人物の墓標としてそこに在った。石像に縁深い故人を思い出して、白竜の表情が微かに曇った瞬間を、カイが見逃すはずがない。
「……なぁ、あんた……気付いてるか?」
「……っな、どういう、ことだ……?」
「そこの地蔵の陰で、シュウが俺たちを見てる」
「――ッ……!?」
 白竜の表情に明確な動揺が走った。色白の顔を真っ青にして、歯の根も合わない様子で、カイの発言にぶるぶると震えている。白竜は首を横に振って否定した。
「……そのような、馬鹿な話が、あるわけないだろう……ッ!」
「本当だぜ。俺には見えるんだ。なぁ、今あいつ、どんな表情をしてると思う?」
 白竜の目に映る石像の後ろには何もない。しかしカイは、あたかも誰か≠ェいるようにそこを見つめ、白竜に語り掛ける。
「すっげー怖い顔をして、俺たちを睨んでる。そりゃそうだよな。恋人と親友が自分の墓の前でセックスしてるんだから。胸糞悪くて当然だよな」
「ひ……ッ!」
 カイは前に手を伸ばし、おもむろに白竜の股間を掴み上げた。白竜のそこは不本意ながら勃起して、透明な先走りをしとどに溢れさせている。濡れた幹を手のひらで扱いてやると、肉孔の締め付けが強くなった。白竜の身体の淫らな反応をカイは嘲笑うように罵った。
「見ろよ、このカウパー液の量……シュウ以外の男に抱かれて股を濡らしてる、あんたはふしだらな奴だ」
「……う、るさいっ!黙れ!違う、ちがう……っ!」
「違わねーよ。犯してるのに感じやがって!シュウは怒ってるぜ。あんたにも、俺にも……なぁッ!」
「……ッはぁ!うぁっ、く、あぁ……ッ!」
 腰を掴んで固定したカイは、白竜の中を乱暴に突き上げた。狭い内壁を亀頭で抉って無茶苦茶に掻き回す。後孔での悦びの得方を知っている身体は、自分勝手で手荒な律動からも、快楽を獲得できるようになっていた。苦しみの中にある微かな気持ち良さを拾い集めて、望まぬ交接にも感じてしまう己の肉体が恨めしい。
「……う…あ、はぁッ…あ……」
「……はしたないあんたの姿、シュウにもっとよく見せてやろうか」
 一旦繋がりを解いたカイは体位を変えさせた。大樹の幹に手を付かせた膝立ちの白竜に、再び後ろから挿入する。この格好は白竜の下腹部の辺りに石像が来るものだった。赤く充血して勃起した性器が、シュウの墓標の前に晒されている。それだけでも酷い冒涜であると申し訳なくなるのに、あろうことかカイは、先端部を石像に向けて白竜の雄を扱き始めたのだ。
「……ッ!や、ぁッ……嫌だ、あっ!カイ!それだけは……ッ許して、くれ……ッ!」
 白竜は青褪めて声を張り上げた。カイのしようとしていることは、絶対に許してはならないことだ。思惑に気付いた白竜は抵抗したが、カイの愛撫の手は緩まることがない。先走りの量が増えて、ぐちゃぐちゃと酷い水音がする。嫌なのに高まる快感に困惑した白竜は叫ぶように拒絶した。
「いやだ、嫌だぁ…ッ!カイ!頼む、から……それは、やめてくれ……っ!ッあぁ…うッ……!」
「……駄目だ。中出ししてやるから、あんたも、このままシュウに見られてイけよ」
「うあッ…あぁ…や…ッ!あ、はぁ…ッ!んッ、ぁあ……っ!」
 カイの肉棒に突き上げられて、白竜はぶるぶると身体を震わせた。下肢の奥底から絶頂感が込み上げる。この衝動をどうにか堪えたいけれど、身体はもう我慢の限界まできていた。労しく高揚した白竜の頬に、一筋の透明な涙が伝い落ちる。口を衝いて出たのは、シュウへの謝罪の言葉だった。
「シュウ……ッ、シュウ、すまな…っ…あ、すまない……っン、はぁ…あぁあ……ッ!」
 カイの熱が体内に広がるのを感じながら、白竜は悲痛すぎる嬌声と共に達した。白竜の放った絶頂の証が、石像に供えられた菫の花の上に、白く降り注ぐ。可憐な献花が白濁を被る無残な光景を、仄暗い笑みを浮かべたカイが、項垂れる白竜の背中越しに満足そうに見つめていた。




 END?

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