稲妻11 | ナノ


※一マク隠毛ネタ(サルベージ)
※マークがちょっと痴女っぽい




 下肢に蹲ったマークが、あんまりにもじっとそこを凝視するものだから、面映ゆくなった一之瀬は苦し紛れに聞いてみた。
「マークにも同じものが付いてるだろ?」
「全然違う…色が濃くて、毛も…」
 マークがじっくりと見つめているのは、一之瀬の陰茎及び陰毛である。ようやく生え揃った下の毛は、日本人らしく黒かった。髪の毛と同じ色をした、マークの綺麗なブロンドと比べたら、自分の陰部はさぞかし浅ましく見えるだろう。流石の一之瀬も苦笑したのだが、続くマークの反応は想像とは少し違っていた。
「カズヤの…男らしくて…」
 うっとりと呟いたマークの顔が、すっと一之瀬に近付いていく。
「う、わぁ…っ!」
 湿った熱い吐息と共に、股間に押し付けられた尖った感触に、一之瀬は思わず変な声を上げてしまった。一之瀬の股座に顔を埋めたマークは、鼻先を茂みに熱心に擦り付けて、一之瀬の匂いを嗅いでいる。マークの行動に悪気がないのは、確かに頭では理解しているのだが、幾ら何でもこれは本気で恥ずかしい。
「ちょっ…マーク!やめてよ…っ」
 慌てた一之瀬は必死になって、マークの頭を股間から引き剥がした。顔を上げさせられたマークの白皙の頬は、興奮によってほんのりと色付いて、酔っ払ったときのように火照っている。高揚した顔色を隠しもせずに、きょとんと首を傾げたマークは、何故一之瀬が声を荒げたのか分かっていない様子だった。
「カズヤ?どうした?」
「もっとやり方ってものがあるだろ…」
「すまない…嫌だったか?」
「嫌っていうか…びっくりするからさ…」
 常に清潔に保つよう気を配ってはいるが、何せ場所が場所であるから、他人の顔面に触れ合わせるのは躊躇われる。しかもマークは稀に見る美形の持ち主である。一之瀬の感じる罪悪感はひとしおというものだ。
 される一之瀬がこんなにも気を遣うのに、するマークが全く気にしていないというのも、皮肉であり滑稽でもある。

 お互いの観念に隔たりがあることを、挙げ始めたら切りがない。一之瀬は落ち着くために深呼吸をして、気を取り直してマークに微笑んだ。些かデリカシーに欠けていようと、マークは一之瀬の、何よりも愛しい恋人なのである。
「マークはさ…いつもは上品なのに、時々妙に犬っぽくなるよね」
 親指と人差し指で摘むようにして、マークの高い鼻の先を撫でてやる。一之瀬の指に甘くあやされて、マークの表情が溶けるように綻んだ。骨の髄まで恋に蕩け切った男の顔だ。
「カズヤの匂い、覚えた…」
「どうだった?」
「…すごく、興奮した…」
 マークは一之瀬に縋り付いた。太股に押し付けられたマークの一物は、既に硬く形を変えていた。潤んだエメラルドグリーンの瞳が、物欲しそうに一之瀬を見つめる。こういうことは初めてだと言っていたのに、随分と貪欲で大胆ではないか。発情したマークはなおも一之瀬に迫った。
「カズヤ、どうしたらいい?カズヤの気持ちいいこと、オレに教えてくれ…」
 一之瀬は喉を鳴らした。本能に忠実なマークの姿も悪くはない。無垢で愛らしく淫乱で従順――こんなに可愛らしい生き物が他にいるだろうか?
「おいで、マーク。俺が一から教えてあげる」
 綺麗に笑った一之瀬は、とても自然な所作で、マークの腰に手を伸ばした。




 おわり

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