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 アフロディの身体は非常に具合が良いので、挿れると源田はすぐに出してしまいそうになる。とはいえあまりに早く達してしまうのは、男としての沽券に関わってくる。込み上げる絶頂を我慢して我慢して我慢した末、アフロディが満足する頃になってからようやく、源田も射精に至れるのだ。


「ん…あぁんっ…源田くん…っ」
 抜き差しに合わせて絶妙な収縮を繰り返す後孔は、名器と称するに相応しい。着実に高まる射精感を耐えていた源田も音を上げて、正常位で抱いていたアフロディに堪らず覆い被さった。深い挿送を心掛けながら、長い髪に隠れた耳や首筋を舌でまさぐる。
「アフロディ、中、いいか?」
 お互いの同意の上、セックスをするときに避妊具は着けていない。肉棒を包み込む粘膜の熱さを生身に直に感じながら、源田はアフロディに中出しを強請った。
 男の腹では孕みはしないとわかっているが、この身体は自分の所有物だという証を、アフロディの中に叩き付けてやりたくて仕方ない。自分がどれほど愛しているのかということを、源田はアフロディに刻み付けたいのだ。
「いいだろ?お前の中…俺の精子で、いっぱいに…」
「駄目っ!」
 これでもかというほど甘く低く演じた渾身の囁きは、アフロディが張り上げた声に一蹴されてしまった。駄目。シンプルな言葉ではあるが、これほど激しく即座に拒否されると、それはそれでショックだ。
「そ、そうか…」
 そんなに嫌なのか…と肩を落とした源田は、アフロディに嫌われることを何よりも恐れていた。駄目と言われたのに無理強いはできない。引き抜いてから射精しようとしたのだが、続くアフロディの要求に源田は我が耳を疑った。
「くち!」
「…え?」
「中はだめ…くち、僕の口に出して!全部飲むからぁ…」
 そう言って喘ぐように口内を晒すアフロディに、源田は大いに面食らった。白くて華奢な歯並びと真っ赤に濡れた舌の対比がやけに卑猥だ。此処に向かって射精しろと、アフロディは言っている。源田は思わず息を呑んだ。
「本当にいいのか?」
「いいっ!源田くんの精子飲ませて…」
「…っ、あんまり煽るな…」
 アフロディの願望は本気のものであるらしい。物欲しげな眼差しを向けられて懇願されては、源田も応えずにはいられない。
 そのまま中を数回突いて限界にまで膨張したものを、源田は引き抜いてアフロディの口元に突き付けた。舌を伸ばすアフロディの淫らな表情を見下ろしながら、脈打つ幹を自身の手で数回扱けば、絶頂はすぐに訪れた。


「んん、ふ…んくっ…んっ…」
 あられもなく開いた口に向かって、源田は迸る精液をどくどくと注いだ。上手く狙えなかった飛沫が、アフロディの口元にぱたぱたと散る。源田の熱を口腔で受け止めたアフロディは、念願の精液を恍惚と飲み干した。如何にも美味しそうに小さな喉仏が上下する。
「あん…零しちゃった…」
 一滴すら勿体ないと言いたげにアフロディが呟いた。唇の周辺に飛び散った白濁を指で丁寧にすくっては、赤子のようにちゅぱちゅぱとしゃぶっていく。
「源田くんの精液、おいしい…」
 残滓にべたつく顔を綻ばせて笑うアフロディに、源田は火をつけられたような興奮を覚えた。射精したばかりの火照る下肢が、血液を集めてずくりと強烈に疼いた。
 何とか押し止まろうとする源田の理性を、アフロディは難無く打ち砕くのだから質が悪い。
「もっと…ちょうだい?」
 真っ赤に熟れた舌を差し出すアフロディに、源田は成す術もなく降参した。全くアフロディには敵わない。無垢さと淫靡さを兼ね備えた淫らな天使に、源田は翻弄されるしかないようだ。



おわり

お粗末様でした!


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