バサバサと積み重なっていた本が崩れ落ちる音にぷちんときれた。何がって?集中の糸が

「…いるのは構わないがお願いだから静かにしててくれないか」

「はーい。でも先輩…」

「でもは無し」

そう言い聞かせまた読みかけの本にまた目を落とした。調度殺人鬼が巧妙な手口で警察を巻き、これから…って時でせっかくのワクワクは台なしだ

「先輩」

「…」

「今日は天気がいいですよ」

「…」

「せーんぱーい」

「…君は少しでも黙っていることもできないのかい?」

ぱたんと音を立て閉じた本を見て嬉しそうな笑顔を見せた彼女を見逃さなかった。今日もまた自分が折れるかたちになる。どうも耐えられないというか、仕方ないなと思ってしまう自分がいる
きっとあの屈託のない表情とかそういったものが脳を上手く刺激して心理的に何か生み出しているのだろう。こうゆう感情は科学的になんと…

「先輩今難しいこと考えてる」

「…そうでもないよ」

「分かるんです私には!」

「君はすごいな」

えへへと笑う姿に思わず心がゆるりとした。どんなに自分の時間を邪魔されようと激しく嫌悪できないのは、この感じが嫌いじゃないからだと思うのだ
だが、せっかく整えた本を散らかしたり最高の展開で話し掛けたりするのが彼女の残念なところだと思うと、うっすら笑いが込み上げた

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