「大人になったら何かすごいことでもしてお金持ちになって裕福に暮らして教科書とかに載りたい」と言った。「ふ〜んそう」と僕はつまらなそうに言った。帽子から、だらりんとぶら下がった紐をくるんくるんした。「真面目に聞けよな」眉間にシワを寄せて怒っている姿を見るに、本気で言ったのかと呆れてしまいそうだった。「まあ、まだ続きがある」「もういいよ飽きた「お前なあ…」「飽きた、飽きたったら飽きた大人になったらなんて話飽きた」飲んでいたジュースをぶくぶくぶくしていたけどストローをがしがしすることに夢中になっていた。彼の呆気にとられた顔がおもしろい。「お前は以外と将来の夢とか語るやつだと思ってた」「は?」「いや、だから」「そんな話嫌いだけど」「あっそ…」ストローの飲み口は飲み口と言える状態ではなかった。沈黙が続いて口を開こうにも何を話そうか、なんて声をかければいいか、表情から容易に察することができた。そんなに頭抱えなくてもいいじゃん。将来のこととか考えたっていつかそのうち来ちゃうんだし。もう大人になるしかないんだし。後戻りは出来ないんだし。彼がイライラしたりする度に胸を疼くこの感覚がいつもたまらなく自分をどこか遠くに逃避させた。そして仕方ないと割り切ろうとしている自分は脆い生き物だと思った
ワイワイキャッキャッなんてできなくなっちゃうなんて寂しいね

title:細胞
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