これでもかとゆうほどにジリジリと熱い太陽が僕の頭をおかしくした
ひやりとした心地よさがおでこに広がるのを感じて目を冷ませば、新しい氷を用意する一人の後ろ姿がある。ぼやっとした視界からでも分かる、木野さんだろう
怠い体をゆっくりと起こそうと試みたものの、呆気なく倒れる形になってしまった

「あ、だめだよ安静にしてなきゃ」

こちらの様子に気遣う言葉に逆らうのも申し訳ない。どうせ立てないのなら、彼女の言う通りにしようと思った
熱中症だってさ。おでこの温くなった氷を取り替えながら優しく彼女は言った。新しい氷が頭を刺激する、そうかそうか僕はさっき外で倒れたんだった。何だかだめだ。足手まといになっちゃいそう

「もっと南に行くに連れて体どうなっちゃうだろうね」

ちょっとした疑問だった。冗談混じりで言ったはずなのに、何故だかどうも不安が押し寄せた。ああ自己嫌悪。彼女の顔を見ることなく小さく、ごめんねと呟いた

「私もね、暑いの苦手だよ」

にっこり、そんな効果音がついてしまいそうなくらいの笑顔。きっと同情して言ってくれているんだ。でも純粋で素直な彼女のことだから、もしかしたら本当に苦手なのかもしれない、僕には少し眩しい。悶々と脳を回転させても分からないけれど、何故だか彼女自身が広大な存在に思えた

「ありがとう」

「ん、何が?」


title:細胞

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