▼アツヤが生きてる





「ああ、もう好きだよアツヤ」

あんだけ激しく突きまくっといて、厭らしく垂れる言葉にはまだまだ活気じみた様子さえ感じられた。後ろから回されている腕とピタリと寄り添い合わされた体からは少しの熱を感じさせられる。後処理を行いながらただ冷静にいようと心掛けた

「アツヤ、好きアツヤ」

回された手に少しだけ力が込められた気がした。ただ好きだ好きだと止まることのないその口はいつの間にか嗚咽を漏らしていた。そして両腕は小さく震え、背中には水が流れていく感じがある、ああ泣いてるのか

「アツヤは、どこへも行かないよね」

確かにはっきりと投げ掛けられた疑問。ひどく怯えた様子にはいつもとは違う違和感をおぼえた
親父もおふくろも雪崩で死んだ。かろうじのとこでこの世に生命を繋ぎ止めた俺の体とまだ生かしてくれた神に感謝している
コイツが一人になっていたらと思うと何故だろうか、心臓の奥の方が締め付けられるような気分になった

「ああ、どこも行かねーよ」

「約束だよ、破ったら僕がアツヤを殺すからね」

「ああ」

コイツは本気で言っている。普通本気で言われたら背筋がぞくりとしてしまう台詞なのに恐怖なんかひとっつも感じられない、俺がお前を裏切っちまうなら殺されたほうがマシだと思った

「好きだよアツヤ」

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -