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バレー部の副主将である京治は忙しい。日々ハードな練習をこなしながら勉強もちゃんとして、その上、一応彼女である私の相手もしてくれるのだから、京治は本当にすごいと思う。
京治は一体、いつ休んでいるんだろう。相当疲れが溜まっているんじゃないだろうか。久し振りの休みだからどこかに行こうと誘われた私は、嬉しい反面、無理をさせているような気がして返答に困ってしまった。
口籠る私を見て、京治は全てを悟ったのだろう。遠慮しなくていいから、と優しい言葉を投げかけてくるものだから、本当に敵わないなあと思いしらされた。
そんなわけで今日は約束のデートの日。と言っても、私が選んだ行き先は京治の家。本当は買い物だってしたいし最近できたばかりでオシャレだと噂のカフェにも行ってみたい。けれど私はそんなことよりも、京治にゆっくりしてもらいたいと思ったのだ。


「本当にうちなんかで良かったの?」
「うん」
「俺は名前と一緒ならどこでも良いけど」


眉ひとつ動かさず何食わぬ顔で京治が私の心を揺さぶってくるのはいつものこと。歯の浮くようなセリフだって京治が口にするとドラマのワンシーンみたいにときめいてしまえるのだから不思議だ。
京治の家にお邪魔するのは初めてではない。京治のお母さんと笑顔で挨拶を交わせるぐらいの仲にはなったけれど、やっぱり緊張する。今日は珍しく誰もいないようで、家の中は静かだ。
2人分の飲み物を用意してくれた京治の後ろについて行くと、整理整頓された部屋に通される。勿論、京治の部屋だ。シンプルというより物が少ない室内は、私の部屋より綺麗だと思う。


「どうする?名前が前見たいって言ってたDVDあるけど…見る?」
「京治が見たいなら…見る」
「俺は名前がどうしたいかってきいてるんだけど」


京治は少し不機嫌そうに口調を荒げる。どうやら私が京治のことを気遣っているのがお気に召さないようだ。


「いつも忙しそうだし、今日も疲れてるんじゃないかなって思って…だから今日は京治がリラックスできることしよう?」
「俺がリラックスできること、ね」


テーブルの上に飲み物を置いた京治は意味深な笑みを浮かべて、私をベッドの上に座らせた。そういえば今はこの家に2人きり。そう思うと、勝手に脈拍が速くなる。
隣に腰掛けてきた京治はわざとらしく、どうしたの?と尋ねてくるけれど、私がドキドキしていることなんてお見通しに違いない。
ベッドに置いていた右手に、京治の左手がそっと重ねられる。思っていたよりも熱いその手に意識を集中させていると、名前、と名前を呼ばれた。反射的に顔を上げれば、目の前には京治の顔。


「今日は俺の好きなことしていいんだよね?」
「そう、だけど…、なに、するの…?」
「まずはキスしようか」
「っ、ん」


元々すごく近かった距離が一瞬にしてゼロになる。啄むように何度も口付けられたかと思ったら、酸素を奪い取るような深いものへと変化して、息苦しさからベッドのシーツをぎゅっと掴んでしまう。
すると、重ねられていた京治の左手が、緊張を解すかのように私の右手をやんわりと包み込む。キスってこんなに気持ち良かったっけ。私を夢中にさせるほど口付けを交わした京治は、酸欠になるギリギリのところで私の唇を解放してくれた。


「はぁ…っ」
「そんなに苦しかった?」
「くるし…よ…、」
「じゃあもうしない方がいい?」


京治は分かっていてきいてきている。私が拒まないって。思惑通りに首を横に振ってしまう私も私だと思うけれど、ちょっぴり意地悪な京治も好きだから仕方がない。
じゃあおいで、と。優しい声音で囁かれたと思ったらふわりと身体を抱き上げられ、京治を跨ぐようにして足の上に座らされる。いつも見上げている京治の顔を見下ろすのはなかなかに新鮮だ。恥ずかしさも忘れてじぃっと見つめていると、ふっと笑われてしまって。何かおかしなことでもしただろうかと首を傾げた。


「誘ってる?」
「え、違うよ!ただ上から京治見られることってなかなかないから…!」
「うん、知ってるけどね」
「…性格悪いよ」
「そんな性格悪い男の彼女って誰だっけ?」


小さな言い合いであろうと私が京治に勝てるわけもなく、むっと頬を膨らませることしかできない。しかしそんな小さな抗議の態度ですら許されず、すっと伸びてきた手が頬を撫でるから少し擽ったくて笑ってしまった。


「続き、するよ?」
「えっ…、んぅ…ふ、んっ」


ほんの少し油断していた隙に、あっという間に食べられてしまった私の唇。角度を変えて何度も何度も重ねられて、息を吸う暇がない。しかも、ぬるりと京治の舌が口内に侵入してきたものだから、私はそれに応えることだけに必死になるしかなくなった。
舌同士を絡めてみたり歯列をなぞってみたり、縦横無尽に口内を這い回る京治の舌に翻弄されて頭がぼーっとしてくる。そのせいでだらしなく口の端から唾液が垂れるのが分かって、それを拭おうとした手は京治の手に絡め取られた。


「っ…は、ぁ、」
「ごめんごめん、ちょっとやり過ぎた」


口の端から垂れた唾液は京治によって舐め取られ、その行為にかあっと顔が熱くなる。
今更だけれど、京治がリラックスできることってこんなことで良いんだろうか。私ばっかり気持ち良くなっているような気がするし、なんならマッサージとか、そんなことをした方がよっぽど良いんじゃないだろうかとも思ったりする。


「京治、あの、してほしいことない?」
「急にどうして?」
「疲れてる京治を休ませてあげたいのに…こんなことしてちゃ…、っん!」


今度は少し強引に唇を重ねてきて、そちらに集中している間に身体を反転させられた。背中に柔らかい感触があって、ベッドに寝かされたことを肌で感じる。


「俺は名前とこうしてるだけで癒されてるんだけどね」
「そ…なの…?」
「だから、」


ちゅうっと吸い付かれたのは、露わになっていたらしいうなじ。吸い付いた箇所をペロリと舐めてから薄く笑う京治は、同い年とは思えないほど色気がある。


「相手、してくれる?」
「……お手柔らかに、お願いします…」
「それはきいてあげられないかな」


またもやうなじから首筋にかけて、つうっと舌を這わせてくる京治に身震いする自分の身体が恨めしい。けれど、京治に求められるのは正直嬉しかったりするから、私は受け入れることしかできないのだ。
アルフェロアをぱくり

ぬいぬい様より「赤葦といちゃいちゃちゅっちゅするちょっと微裏な甘ーいお話」というリクエストでした。本当にひたすらちゅっちゅしかしていませんがこんな感じでも大丈夫でしたでしょうか…?彼女の前ではちょっと甘えてる赤葦可愛いなって思いながら書きました…!この度は素敵なリクエストありがとうございました!
2017.06.16


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