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- ナノ -

年越し・初詣の事情

及川徹の場合

「あ、見て。着物着てる人がいる」
「ほんとだ…歩きづらそう…」
「名前の着物姿、見てみたいなあ」
「着る機会ないでしょう…」
「じゃあほら、結婚式で和装すればいいじゃん」
「は?」
「着物とウエディングドレスとカクテルドレス。2回はお色直ししなくちゃね」
「何の話してます?」
「だから、結婚式の話」
「誰の?」
「…妄想が膨らんじゃって、つい」
「…及川さんは何でも似合うんでしょうね」
「イケメンだからね」
「自分でそれ言うと台無しですよ」
「だってほんとのことだし」
「なんだか気分を害したので帰っていいですか」
「ごめんって!せめて初詣終わらせてから帰って!」
「初詣終わったら帰って良いんですか?」
「え、」
「すぐにさようならで良いんですか」
「名前ってさあ…そういうとこほんと可愛いよねぇ…」
「揶揄わないでください本当に帰りますよ」
「はいはい」
「…手、繋いでくれないと逃げちゃいますからね」
「ほら。やっぱり可愛い」

たまに彼女にデレられると堪らなく可愛くてヘラヘラしちゃう残念なイケメン代表及川さん。すぐに手繋ぐし初詣終わってからも勿論帰さない。


岩泉一の場合

「あー…ねっみぃ…」
「はじめ、基本的に早寝だもんね。眠たいなら寝ていいんだよ?」
「いや、年越しそば食う」
「さっき夜ご飯食べたのにもう?」
「俺は全然食える」
「じゃあ用意しようか…」
「手伝うわ」
「おそば湯がくだけだから良いよ」
「んー…座ってたら寝そうだし」
「じゃあ食器出して」
「ん」
「……珍しいね」
「何が」
「はじめが料理の邪魔してくるの」
「邪魔はしてねぇ。見てるだけだ」
「年越しそば食べたら寝よっか」
「は?なんか見たいテレビあるって言ってたろ?」
「それは録画予約してあるもん」
「俺に合わせなくていいって」
「違うの。私がそうしたいの」
「ほんとかよ…」
「2人で布団の中であけましておめでとうって言い合うの。良いでしょ?」
「…そんなこと言う余裕あるか?」
「はじめこそ、寝ちゃうんじゃないの?」
「うるせぇ。もう目ぇ覚めたわ」

眠気覚ましのつもりで料理中にもかかわらず奥さんの後ろにくっ付いちゃう岩ちゃん。人間の三大欲求(睡眠欲、食欲、性欲)に忠実な男。


花巻貴大の場合

「やった!私大吉〜!貴大は?」
「…小吉」
「微妙だね…」
「あ、でもほら。願事、思うままです、って」
「でも油断すれば叶わずって書いてあるよ」
「油断しねぇから大丈夫」
「何それ。そもそも貴大の願事って何?」
「んー?ナイショ」
「お金持ちになりたいとか?」
「あー、うん、そんなんでもいいね」
「違うのか…じゃあ楽して億万長者になりたいとか」
「俺のこと、めっちゃ金持ちになりたいやつだと思ってんの?」
「誰だってお金は欲しいじゃん。私も欲しい」
「残念。俺はピュアボーイだからそんな薄汚れたことは思ってませーん」
「はあ?じゃあ何〜?」
「願事って人に教えたら叶わないらしいからナイショ」
「言ったら叶うこともあるかもよ?」
「例えば?」
「…おしるこ食べたい、とか」
「それ願事っていうか今の名前の願望じゃん」
「いいの!ほら、食べに行こ!」
「はいはい…まあこれはこれで願事叶ってんのかなあ…」
「何か言った?」
「んー?色気より食い気の彼女も可愛いなって言ったの」
「ばか。何言ってんの」
「顔赤いよ名前ちゃん」

おみくじ引いてワイワイする友達のノリみたいな感じだけど、これからもずっと一緒にいられますようにって思ってる花巻と恐らく同じことを思っている彼女。単なるバカップル。


松川一静の場合

「人多いですねぇ…」
「まあ大晦日だからね」
「今何時ぐらいなんでしょう…」
「えっと、お、年越し10分前」
「もうすぐじゃないですか」
「早いね」
「そうですね。2時間ぐらい前に家出たのに…」
「そうじゃなくて」
「え?」
「名前ちゃんと出会ってから今日まで、早かったなと思って」
「そ、そう…です、ね」
「手繋ごっか」
「…はい」
「ちょっと早いけど、来年も宜しくね」
「こちらこそ」
「あ、違うな」
「はい?」
「来年以降もずっと、宜しくね、だ」
「…はい!」
「意味分かってる?」
「分かってますよ」
「じゃあ松川さんって呼ぶのそろそろやめようね」
「えっ」
「名前ちゃんもいずれ松川さんになるんだから練習しとかないと」
「……来年の抱負にします」
「はは、うん、頑張って」

初詣に行って人ごみの中さらりと手を繋いで、さり気なくというかもはやほぼプロポーズでしょみたいなことを涼しい顔して言っちゃうズルい男。

クリスマスに引き続き年越し・初詣バージョンも書いてみましたが会話文だけだとニュアンスが伝わりにくくて難しいですね…。