僕が、僕の、アイツが、アイツの。


…無い。
「……僕の、LBXが無い」

思い出せ、思い出せ、思い出せ、
今日何処に行った?
今日何をした?
今日誰と会った?

………アイツだ、

「荒木、荒木ムジナだ…!!」
ウォータイムの後はアイツにしか会ってない、

「すれ違いざまにLBX盗んでいくなんてなんて奴だよ…!」

全速力で、明日筋肉痛になるんじゃないかと思う程、全速力でエゼルダームの教室へと走る。



「荒木いいぃぃっ!!」
「お、結構思ったより早かったな」

ウォータイム終了から10分ってとこか、と面白そうに、アイツは笑う。

「返せ、」
僕のLBX。

「さて何のことだか、」
「とぼけるなよ!!お前だろ!」



____________




嗚呼、コイツはこんな表情もするのか。

いつもすまして僕は関係ありませんって態度、
あんなバカげた集団に一人まともな奴、
戦闘中も全く癖を出さない奴、

雲母坂ミナト。

一度感情をむきだしにしたアイツをみてみたかったんだ。

もっと、もっと、もっとだ…!!

「さて、何のことだか」


_____________


コイツ、とぼける気だ、
「お前しかいないんだよ!お前だろ!」

自分より十数cmも高い相手の胸ぐらを掴み思いっきり引き下ろし、揺さぶる

「っと、わーったわーった、返す返す、」

手間かけさせやがって、
僕はアイツの差し出す僕のLBXを受け取ろうとする。








刹那。




ゆっくり、ゆっくり、スローモーションに見えた、

アイツの手から、僕が受け取る筈だったLBXが滑り落ち、床へ、落ちる、落ちる


「……な、っ」

僕は慌てて拾う、
しかしアイツの追い打ちは続いた

______________


「……な、っ」

アイツのLBXを床に落とせば、さらに追い打ちをかけてやろうかと足を伸ばす。

「残念だったな、」


______________


僕の、僕のLBXはアイツの脚の下だ、

アイツが、僕の、僕がもっと早く、アイツの、アイツが、僕のLBXを…!

「あ゛あ゛あああぁぁぁっっ!!!!」

泣くまいと決めていたのに、僕が痛い訳でもないのに、アイツにバラバラにされたLBXを見つめる度に、痛い、痛い、痛い

僕の耳にはアイツが楽しそうに高笑いしながら教室から出て行く音が聞こえた。


___________

かきたいところだけかいた



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