シンドバッドがジャーファルさんに酒癖女癖の悪さを渾々と説教されたある夜、枕を抱き締めながらそんなこと言ったってさぁ寂しいじゃん!女の子は可愛いし柔らかいからつい抱きしめたくなるじゃん!なんてひとり言い訳してベッドの上で「あーあ、誰か一緒に寝てくれないかなー…クスン」と星に願った次の日の朝、異世界の生物ジラーチが彼の「誰かに側にいて欲しい」という少年の様な純粋な願いを聞き遂げ叶えるために夢主をトリップさせる、とんでもねえありがた迷惑な話。



「ボクからのプレゼント、気に入ってくれた?」


最期の闘い、シンドバッドがダビデに飲み込まれる直前のシーン
「ずっと、護っていてくれて、ありがとうございました」
「シンドバッドさん、私……!」

「貴方のことが、好きです。……貴方を、愛しています!」
「! ……。」
「ずっと、ずっと言えなかった……!」
「……、俺も……俺も、名前、君のことが好きだ。あいして、いる」
酷くぎこちない愛の言葉を紡ぐ。
「ずっと側に居てくれてありがとう」
「はい、」
「君の生を縛りつけて、ごめん」
「……私はずっと前から、貴方を許していますよ」
名前は微笑む。シンドバッドも、釣られて泣き笑いのように目を細めた。
「これからも、側にいてくれるか?」
「側に居ます。シンドバッドさんの側に…ずっと。ずっと!」
「……約束だ」
そして繋がれていた手は離される。シンドバッドの手が離れた指先から、黒くグロテスクな化け物へと変わっていく。名前を乗せて飛ぶオンバーンは突風に煽られ名前もろとも飛ばされてしまう。



image song:ペールブルー、あなたの夜が明けるまで、明けない夜のリリィ、光



back