病んでいる伊達。暗い
血とか表現出てます。苦手な人は閲覧注意。






目が覚めた。
いつも通りのなんでもない日だった。今日は何をしようか。

「幸村」
名前を呼ぶと返事が返ってくる。その男の首を曲げて目線を向けさせた。生気のある目がそこにある。大丈夫だ。この男はここにいる。あれは夢だったのだ。この男は動いている。動いている、誰が?
もう一度名前を呼ぶと同じように返事が返ってくる。あの時聞けなかった声だった。思った通りだ。似ている。気持ちが悪いほどに。顔も髪型も服も声さえも記憶のものと変わらないこの男になにか違和感を感じた。そうだ、何故この男が動いているのだろう。動くはずがないのだ。
あの姿を見ている。手足がちぎれている姿も腹が引き裂かれている姿も頭が叩き割られている姿も首がない姿も首だけが残された姿さえも!
赤く染まったこの男を俺は知っている。名前を呼ぶと何も変わらないあの声を出した。
刺さる。何かを刺した感覚があった。これはなんだろう。赤い。こんなところまでこの男は本当によく似ている。

動かないそれが足元にあった。








(目が覚める)