赤裸々な佐助先生の話。 女性というものに、興味がないわけじゃない。 むしろ好きだ。 俺にはないあの特有な柔らかさに恋心を抱いたことはある。 別にアレは勃つし女性に性欲制欲庇護欲その他諸々がないというわけでもないと、この数十年実感もしている。 ただそれ以上に大切なものがあるんだから。 携帯の一番古いデータにはまだ、幼い頃の恋人との写真が残っている。 あどけないその笑顔に口角が緩んだ。俺のことを受け入れてくれてありがとうなんて恥ずかしくて言いたくない。 あまり考えたくなかったが、もしあの子に振り向いてもらえなかったら、俺は今頃違う子の隣で笑っていたのだろうか。 町を歩く見知らぬ恋人達に自分の姿を投影すると、そんな人生もあったのかもしれないと思えた。 結婚はしているだろうか。 浮気をして奥さんを困らせていないだろうか。 想像上の俺は幸せだろうか。 もし幸せになっているのなら俺の代わりに愛する人と形のあるものを残してほしい。 俺は十分幸せだから何も気にしないで大丈夫。 愛する人がいるんだ。 幸せになれないわけがないよ。 ◇ どうやら妄想癖のある佐助先生。 思春期と自我で女性に興味を持ちましたシリーズみたいになっちゃった。 |