街でたまたま見つけた買ったお気に入りの洋服に、いつもより少しだけ整えてみた髪型、新しい香水。 「こんなもん、かな」 鏡の前に立って思わず笑い出した。 鈍いアンタのことだからどうせ俺の努力には気づかないだろうけど、それでも気持ちの問題だ。 今日の私はかわいいのよ、なんてアンタの部屋で流れていた歌の歌詞を思わず口ずさむとまるでお姫さまのようにくるくると回りだしたくなる。「眼帯の姫なんて怖くて近寄りたくねえなあ!」 鏡の中の俺が腹を抱えて笑っていた。 今日の天気は晴れ。窓を開けると綺麗な青空。今日なら、言える。 時計を見ると、約束の時間まであと三十分までに迫っていた。そろそろ行かないと遅刻する時間だ。 急いで靴をはき、走り出すように外に飛び出した。 待ち合わせ場所について辺りを見渡すと一際目立つその色が目に入る。 ああ、もういた。 視線に気づいたのかその男も手を振り近づいてくる。色々な視線を連れて。 どうせ鈍いアンタは自分に向けられた色にも気づいてないし声をかけられようとアピールしている必死な女がいることにも気づいていないのだろう。教えてなんてやるものか。 アンタを恋に落とさせるのは俺だ、なんて叫びたくなるほど俺の頭は沸いている。 (鈍感なアンタを意識させるには行動だろう、なんて胸に飛び込んでやったら馬鹿みたいに顔を赤くしてたのは脈アリというやつだろうか)(とりあえず苛つく視線の排除は成功)(あとは俺の努力を褒めてくださいDarling) Let's fall to love together. ◇ 的な。 はりきる伊達さんが一大ブームを起こしていた時期に書きました。 伊達さんが頑張る姿はかっこかわいくて応援したくなるのにね。 一緒に恋に落ちましょうって誘う伊達さん素敵だと思います。 |